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「円満相続」の実現に必要な心構えとは?
毎年、遺産分割トラブルという相続争いは増える傾向にあります。
この相続トラブルにならないように私たち「離婚と相続のADRセンター」では、
相続セミナーを開催しています。そのセミナーで、私たちが最初にお聞きする質問です。「うちでは、相続トラブルは起きない。その理由は、うちの子どもは仲が良いから大丈夫。」そう思っている方、手を挙げて!
参加者の方で50~70%のお父さんお母さんが、手を挙げます。それは、仲が良いと相続トラブルは起きないと思っていらっしゃるということです。
しかし、トラブルは起きています。
ただ、手を挙げたご家庭を責めるわけには、行かないのです。なぜなら、相続トラブルになって調停で争うご家庭の多くは、もともと家族は仲が良かったという場合が多いのです。では、どうすれば相続トラブルを避けて「円満な相続」を実現できるのでしょうか?
遺産分割は感情とお金に配慮しよう
もしも、あなたの家族の中でお父さんが亡くなった場合のことを想像してみて下さい。その時、お父さんの遺産は家族の生活資金です。また、お父さんの自宅は、一緒に住んでいたお母さんの住む場所として当然にお母さんが相続することは誰が見ても当然だと思いませんか?ところが、相続の場面では相続人全員が合意しないとそうなりません。そうです。お母さんが相続できるとは限らない場面が起こるのです。そこで、ポイントは、遺産分割協議では各相続人の感情面と経済面の両面に考慮しながら話し合うことです。
遺産分割で忘れてはならない重要なポイント
●法定相続分とは、法定相続分相当を取得する権利である。
●家業や実家を相続する相続人の負担に配慮をわすれないこと
遺産分割で話合うためには必要なこと
まずはそれぞれの法定相続分を確認する
法定相続分では、配偶者は常に相続人です。相続人の子らは、配偶者の残りの2分の1の遺産を子の数で当分に割り相続します。
最初に、遺産分割をする時はこの法定相続分を確認して各相続人が相続できる遺産を目安にすることから始めます。
しかし、これはあくまで遺産分割協議の際の目安であるため、必ず法定相続分通りに相続財産を分けるということではありません。相続人の間で話合いができれば、法定相続分と違った割合で相続財産を分けて相続人が取得することできます。
一例ですが、父親の財産をすべて母親が相続して、将来母親が亡くなった時に子どもら全員で改めて財産を分割することもできます。なお、父の相続で各相続人が話合い父親の財産の中から好きな遺産を取得することもできます。
しかし、遺産分割では各相続人が法定相続分に応じて遺産を相続する権利が認められています。ですから、相続分よりも多く財産を取得すると、他の相続人は法定相続分より少なくなりますから、内心不満を持つ相続人が生まれる可能性もあります。
遺産分割で揉めるケースで多い事例として、財産が実家の不動産しかないような場合に起こります。このようなケースでは、自宅を相続する相続人が、不動産を相続する(代償分割といいます)代わりに、その他の相続人に代償金を支払うことにより遺産分割を行うことも可能です。
そこで、各相続人が自分の相続できる法定相続分を金額として把握しておくことは、話し合いをスムーズに進める上でとても大切ですし、役に立ちます。
また、相続法の改正により、亡くなった夫の妻は「配偶者居住権」を遺産分割の際に主張すれば、妻は夫の自宅にそのまま住み続けることができるようになり、自宅を相続が始まったからといって分割するという事はなくなりました。ただ、相続人の子らにとっては、相続争いの種が増えたことにもなるので、より遺産分割の際の話合いが必要になります。
自営の遺産分割は法定相続主張でほぼ解決しない
家督相続制度があった戦前の相続と違い、現在の相続制度では、長男が家業や家督を相続するという考えは、相続において無くなりました。そこで、相続人は、長男であるとか、家業だとか一切の相続権は平等となりましたので、その分話合いをして理解を求めないと、相続争いになる可能性は大きくなります。
そこで、家業や代々の歴史など守っていかなければならない財産を維持するためには、父親や母親は苦労をすることになります。いずれにしても、相続財産の中にこうした家業や先祖からの財産が含まれている場合には、法定相続では解決できない財産があります。
こうした承継しなければならない財産が、ある場合には、円満相続をする上では生前からの対策が必要になってきます。
円満相続には、生前準備が必要
最初に生前準備を考えなければならないのは、親です。その理由は、守っていかなければならないという財産とその意義を分かっているのは親自身だからです。 そのためには、親としてはまだ元気な内から財産の整理をして、遺産そのものを分類して、相続人の子らが納得して相続できるように整理しておく必要があります。
財産目録を作成してまとめる
●財産を整理するには、最初に自分の財産の棚卸をすることです。元気な内から整理を始めないと親自身が転勤や引越しなどで金融機関や投資信託などしている場合には、子らの相続人では探せない財産の存在があります。
さらに、ネットバンキングやPCでの取引に「パスワード」を家族に教えることなどありませんから、親自身の財産を知っているものは、まさに親しかいないことになります。
そして、親が代々引き継いだ不動産には、名義だけで実態を把握できないケースもあります。それは、実家の不動産や、中には名義変更した銀行口座なども残されたままに知らずに放置されていることもあります。これらの遺産は、相続が開始された後に、相続人だけで調べることは大変です。
また、相続手続きが終了した後に、こうした新たな財産が出てきた場合には、その財産のために新たな遺産分割協議を行わなければなりません。
そこで、親としてはご自身の財産を生前に財産目録としてまとめておかれると、相続が発生したあと、相続人全員が相続財産の状況を把握できるようにしておくと、遺産分割協議をスムーズに始めることができます。
相続人全員に相続財産を明らかにする
被相続人と一緒に生活していると、同居の相続人は被相続人の財産をある程度把握していますが、別居の相続人は被相続人の財産を把握できません。
そこで、遺産分割の話し合いになると被相続人と同居していた相続人から明かされた相続財産が予想より少ないと思った場合に、別居の相続人は「同居の相続人が財産を隠しているのでは・・・」と邪推するケースがほとんどです。
その結果、同居の相続人が相続財産を「隠した」、「使いこんだ」と考え、他の相続人は、遺産分割協議書に署名することを拒否して遺産分割の調停を家裁に持ち込み相続財産を多く要求することになるケースが増えています。
こうした問題が起こる原因は、各相続人の思っている相続財産情報の差にあるからと思われます。相続人全員がそれぞれ相続財産の内容について知らされていれば、財産の分け方で意見が分かれることはほぼ無くなります。
被相続人(親)にとっては生前から亡くなったときの遺産分割の話を聞かれることはあまり気持ちのいい話ではないと思われるかもしれません。しかし、被相続人(親)が元気なうちから遺産の内容や金額について知らせておいたほうが、断然に遺産分割はスムーズに進みます。そこで、被相続人(親)としては、お盆や正月を利用してに保有している財産について、相続人全員に伝えておくことが円満相続の手であることは間違いないでしょう。
遺言書も選択の一つ
遺言書は、相続人の間で遺産争いを防ぐ「古くて新しい方法」です。なぜなら、遺言書により被相続人の意思を明確にしておくことは、民法上「遺言書の通り」に遺産は相続人が取得できるからです。ただし、遺言書の作成方法などに民法上の誤りがないことが前提となります。
遺言書は、一般的に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」が利用されています。
公正証書遺言は、公証役場で公証人の下で作成するため、家庭裁判所の検認は不要です。なお、作成費用が、遺産の金額や相続人の人数などにより違ってきますが掛かります。
自筆証書遺言の方は、家庭裁判所で検認を受ける必要があり、全文自署、署名、捺印、日付など、民法で定められた様式を守っていいなければなりません。なお、自筆証書遺言は、単独で作成できて費用もかかりませんから利用される方は公正証書遺言よりも多くなっています。また、自筆証書遺言は、法改正により法務局に保管してもらうこともできるようになり、その場合は家庭裁判所の検認も必要はありません。
また、民法上の有効な遺言書であっても、相続人全員の同意のもとで遺産分割協議書を作成して遺言書とは違う新たな遺産分割をすることも可能です。
相続財産は内容に関わらず一定額を超えると相続税
相続財産が基礎控除額を超えた場合は相続開始後(被相続人が亡くなった日の翌日)10ヵ月以内に、相続税を現金、一括納付が必要になります。相続税は被相続人の財産の総額に課されますから、各相続人は取得した遺産の割合に応じ相続税を納めなければなりません。
相続税の基礎控除額の計算式
基礎控除額3,000万円
相続人の人数3名 400万円×3=1,200万円
3,000万円+1,200=4,200万円
4,200万円を超える遺産に相続税が課されることになります。
相続税の負担を減らす方法
遺産が不動産だけの場合には、相続した人が自分のお金で納税することになります。このように不動産が多い場合には、相続税額程度の現金を他の相続人に遺産分割をすると、その分相続税の負担を減らすことができます。
小規模宅地等の特例制度の利用を検討する
不動産などの遺産は、国税庁HPの相続税評価額で計算し算出しますが、土地の相続税評価額は、路線価図を用いて計算します。この場合には、小規模宅地等の特例を適用すると、最大80%相続税評価額を減額が可能となりますぜひとも検討しましょう。
相続税は、小規模宅地等の特例を適用後の金額にあてはめて計算するため、特例適用した土地を取得する相続人の相続税は、大幅に減少することができます。
しかし、小規模宅地等の特例は要件や面積の制限があるので、すべての土地に対して適用はできません。そこで小規模宅地等の特例を適用できる土地が複数ある場合は、特例を適用する土地について相続人の中で話し合いをする必要がでてきます。
小規模宅地等の特例を適用して最大限の節税になるなどの話合いを相続人の間で行い、特例の適用をしない相続人にはその代わりに現預金を多めに相続させるなどの話合いをすることで円満な相続の実現が可能となります。
相続税は事前に計算しましょう
相続税は相続開始時点の財産を基に課税されます。相続が発生しないと正確には税額を算出できません。しかし、親は生前でも概算の相続税額を算出することは可能ですから、納税資金の準備は事前にすることも可能です。
なお、相続税は、被相続人の亡くなった時点の法律に基づき計算しますから、特例制度や基礎控除額が変わる可能性があります。そのため生前の相続税シミュレーションは概算になりますから、相続が発生したときには、税理士に相談することが必要です。
円満相続のまとめ
最初に言いましたが、「うちの子たちは仲がよいから大丈夫」は、親の期待値であり希望で、どこまでも親目線です。子どもの関係は、兄弟姉妹やその配偶者だけにしか分からないのです。兄弟姉妹が家庭を持ち、引っ越しなどをすると、相連絡を取り合うことも少なくなり、会う機会も変化します。
多くの相続で揉める理由は、兄弟姉妹や相続人の間のコミュニケーション不足にあると考えられています。日頃の連絡や、お互いの生活の状況を知ることで、相続トラブルは防ぐことは可能になります。
親が財産の情報を子らに共有させることで相続になった時の話し合いは、スムーズにできることになりますので、親が元気な今から子らのコミュニケーションを図ることで、円満相続の実現は可能になるでしょう。
さらに確実な円満相続の実現には、私たち相続の専門家のご利用をお進めしています。
遺言書を作成する場合は、とくに私たち専門家を利用すべきでしょう。遺言書の文言や内容から相談させて頂ければ、相続人の間でさらに納得のいく遺言書の作成をサポートさせて頂きます。また、遺言執行をご依頼いただければ、もしも争いになっても確かなサポートをさせて頂き、相続全般のトラブルを避ける方法をご提供させて頂きます。お気軽にご相談ください。
相続税が発生することは、事前に予想ができます。また、不動産などの特例が適用できる財産や税金等のことは相続の話し合いを複雑にすることも予想はつきます。その場合は、一層相続全般の専門家を選ぶ必要があります。ぜひとも。ご相談ください。
相続について、中立の第三者の立場から公平な、トラブルの少ない分割案や特例などの適用を提案することが、最終的に相続人全員の納得の行く話し合いができることに繋がると考えます。
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