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母親が100%相続したら
「意外な不幸」が待っていた!
母親が100%相続したら!
「意外な不幸」が待っていた
相続はどんな家族にも必ず訪れる。
しかも、必ず悩ましいことが起きる。
遺産金額の多い少ないではなく、こじれると、たとえ親子でも関係がおかしくなるから注意が必要です。
私たちセンターでお手伝いした最近の事例をご紹介します。父親が残った家族のために遺言書を作成したことが、残された母と子どもたちの間に亀裂を起こした事例です。
父親が相続税を気にするあまりに、妻(母親)に100%相続させることにしました。ところが、母親は長命で相続が遅くなったのです。その結果、子らも高齢者の仲間入りをすることになり父親の遺産を必要とする年代に父の遺産は間にあいませんでした。
父親の遺産相続の手続きの裏でこんなことが起きていました。
父親の遺産を100%相続した母親は、遺産をすべて自分のために使うようになっていたのです。
そこで、母親と同居していた60代の長女から長男が聞かされた話は「母が思いつくままに自分のものを買っている」という話です。
10年前に他界した父親の相続人は、母と、同居する長女、それに他県に住む長男と次男でした。法定相続を選択するなら、2分の1は妻で、子らはそれぞれ6分の1ずつ相続することになります。
しかし、父は相続税対策のためと考え、また専業主婦の妻(母親)のために、「お母さんが老後に困らないよう遺産は全部あげる。相続税対策としては配偶者控除を利用すれば相続税がかからない。そのうちに、母さんも死ぬのだから、母さんの遺産は、子どもみんなで分ければよい」というものでした。
「妻のため」、父の思いを尊重した
サラリーマンだった父は、都内に戸建て住宅(評価額3000万円)と預金など5000万円の金融資産を持っていて総額では8000万円ありました。
相続税は「小規模宅地の特例」と「配偶者控除」を申告してかかりませんでした。
しかし、3人の子らは40~50歳代で、自分たちの子供の教育費や住宅ローンがかかる時期でもあり、しかも離婚していた長女は子育てにお金が掛かり、それはいくらでもお金は欲しかったという状況でした。
母親と子らの生活には格差が!
父の相続が終わると、急に母親と子らの生活に格差が生まれました。父の遺族年金だけで生活費の心配のない80歳になった母は、自分だけの健康や毎日の生活しか気にかけないようになり、知人と観劇や食事に明け暮れるようになり、頻繁に買い物をするので、家の中は物だらけでした。
見かねた長女は長男に連絡し、福岡|遺言センターに相談を受けることになりました。
当初センターでは、認知症の発症や買い物依存症になったのではないかと疑いました。ところが、長女さんの話では、父は節約家で母はお金を自由に使わせてもらえなかったそうです。その反動がでたのかもしれませんか、自由に物を買えることがうれしいと言ったそうです。ついに、老後の浪費が始まったのです。
母親の資産状況は聞かされないので、一切分かりません。しかし、相談を受けた長男は、浪費が続くのはよくないとアドバイスしたところ、長女が勇気を出して「お母さん、浪費はやめてよ。そんなお金があるのなら、長男と次男の孫の教育費に援助してあげて」と言いました。
しかし母親は「わたしのお金を使ってどこが悪いの」「わたしの責任は子供まで。孫の世話はあなた達が自分でしなさい」と、取り合ってくれませんでした。お盆や正月などに数回会う程度で子らの家庭に関心はないようでした。
ところが、ついに母は「お父さんのお墓を建替えたい」と言いだしました。父のお墓は小さいが、ありますからどうしてそんな事を言い出したのか、親せきの法事でお墓を見て思いついたのでしょう。
このことがきっかけになり、母と子らはだんだん怪しくなっていきました。父が亡くなったときに子らにも相続させていれば母子の関係はうまくいっていたでしょう。
母の相続は配偶者控除で無税です
ところが、ついに母は「お父さんのお墓を建替えたい」と言いだしました。父のお墓は小さいが、ありますからどうしてそんな事を言い出したのか、親せきの法事でお墓を見て思いついたのでしょう。
このことがきっかけになり、母と子らはだんだん怪しくなっていきました。
父が亡くなったときに子らにも相続させていれば母子の関係はうまくいっていたでしょう。
たとえば総額9000万円のうち70%は母親が、残りを子ら3人で相続してれば問題はありませんでした。母親が自宅(3000万円)と預金3300万円の合計6300万円、子らは900万円ずつです。
母親の相続分は、配偶者控除があるので無税です。
子らはそれぞれ67万円の相続税(現在の相続税で計算)で、差額の833万円は自由に使えます。
母は持ち家と年金、それに3300万円の老後資金で悠々自適です。子らは、833万円を学資に使えれば一安心です。
長男の妻は子のクラブ活動費捻出のためにパートで働いていますが、833万円はパート収入150万円の5.5年分です。もしも相続できていれば教育費と住宅ローンの返済は安心ですよね。
たしかに相続での節税対策は大切です。しかし、母と子らの関係はもっと大切です。本末転倒とならないように注意してほしいと思ったのは長女さんだけではありませんでした。
相続では「有効に使う人」にお金をわたすこと!
お金のある高齢者は少ない!親の遺産は“棚からぼた餅と心得よ”で、基本的には「もらえるだけありがたい」という性質のものですが、しかし、困っているときのお金は価値があります。
学生の奨学金を祖父母から援助してもらえるのはありがたい。卒業後に奨学金の返済で苦しんでいる学生は多いのですから。だから、お母さんは、100%相続するという遺言書があっても、遠慮すべきです。せめて子らと一緒に法定相続で分けるべきだと思います。たとえ遺言書が公正証書で作成してあっても、相続人全員が、遺言書と違う分け方を選択して、遺産分割協議書を作成すればいいのです。まして、その遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印すれば、相続は成立します。
お母さん!
もう少し子らのことや、お孫さんの未来を考えて遠慮しましょう。
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