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障害のある子の親なきあと問題

障害のある子の親なきあと問題

 

 

知的障害など判断力が不十分な子は、自分で財産を管理することが難しいと思います。親が生前から準備してあげましょう。

 

 

「子の親亡き後問題」では、解決のために遺言、成年後見制度、家族信託の3つの制度が用意されています。この3つをうまく組み合わせることがポイントです。遺言は必ず専門家に相談して文言などで問題が生じないように公正証書にすることが最も安心だとご提案しています。ところで、障害のある子にたくさんの遺産を遺しても、管理方法や子のために使えるのか考えておかなければなりません。子の障がいの程度にもよりますが計画的に使わないで一気に使ってしまったり、オレオレ詐欺などや高額な金額をだまし取られたりすることも心配です。こうしたケースでは遺言で対策はできませんから別の方法を考える必要があります。

子どもに定期的に給付する仕組みができる信託の利用も考えましょう。子どもの兄弟や親族にあらかじめ信託を利用して財産を託しておく家族信託や、銀行に財産を管理してもらう特定贈与信託などの方法も考えられます。

本人の障がいの程度が問題になりますが、第三者による支援が最適であれば、成年後見制度の利用もいいでしょう。しかし、いきなり後見制度を使うと後見人への報酬がかかりますし、成年後見制度は本人が亡くなるまでやめることができない点が問題となります。

 

ここでよくある質問:本人が世話になっているグループホームなどの法人に財産を遺贈する「負担付き遺贈」で、本人の生活を支えてもらうことはできますか?

 

「負担付き遺贈」は、受遺者が義務を果たすことを条件に本人の財産を最後に遺贈することです。本人へ定期的にお金を給付してもらったり、決めたことを世話をしてもらったり受遺者に負担を課すことができて、受遺者は義務を履行する責任を負うことになります。

しかし、負担付き遺贈は、本人の親が負担を受ける法人や施設にあらかじめ話をして生前から合意をしておくことが重要です。なぜなら、親の死後に約束を放棄して遺贈を拒否することができるので、最終的に本人の希望はかなえられないことになります。

また、親が「負担」を決めていても、財産が法人や施設にわたってしまうことになるため、法人や施設がきちんと約束を守る信頼できるかということを担保しておく必要があります。約束した「義務」を履行しないうちに、法人や施設が経営破綻して遺贈した財産を本人のために使うことができなくなることも考えられます。こうした心配があるので、負担付き遺贈は、法人や施設に直接遺贈するよりも本人の親族に託すことを考えた方が良いともいえます。そこで、親族が負担付き遺贈を受けてくれるのであれば、本人のために家族信託を利用しても良いでしょう。

 

よくある質問:成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後制度見」の2つがあります。どちらの制度が障がい者にはプラスでしょうか。

*注意
任意後見制度のデメリット:取消権がありません

 

成年後見制度の利用は、専門家と相談しながら検討しましょう。安易に利用するは、避けなければなりません。それは、一度利用するどころか、家庭裁判所に申立をしただけで利用することを途中でやめることができなくなってしまうからです。利用者から情報を収集するなどの話を聞いて慎重に検討してください。なお、利用すると判断した場合には、法定後見、任意後見それぞれのメリットとデメリットを十分に理解して検討の上で選択することです。

最初に、任意後見のメリットとしては、本人の意思に後見人を選べるので、本人が信頼する家族や親族を後見人に選ぶことができる点です。なお、法定後見では後見人の候補者を申立てても家庭裁判所が後見人を選ぶため、第三者の弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれることが多いようです。

誤解がないように申し上げておきますが、「親族が後見人に選ばれることが少ない」ということは事実ではないようです。それは、そもそも親族が成年後見人の候補者に親族を立てないケースが多いからです。最高裁の資料によると、成年後見人として親族を候補者に立てている場合は、約80%は親族が後見人として認められているようです。法定後見の申立てにおいても、親族後見人が選ばれるケースは増えています。

だからといって、申立てた候補者が100%に後見人に選ばれるわけではありません。なぜなら、成年後見人を決定するのは家庭裁判所だからです。しかも、選ばれた後見人に親族が不満であっても、後見人の変更ができることは簡単ではなく、原則として子(被後見人)が亡くなるまで後見人は続き、その報酬支払は続いていきます。親の側からは、子の後見人に誰がなるのか大きな問題ですから、親側が後見人を選べないということは法定後見制度デメリットとなります。

 

なお、任意後見制度では利用開始の際に必ず「後見監督人」が家庭裁判所から選任されます。しかも、後見監督人は家庭裁判所が選任し、原則として専門家が選ばれますので、後見監督人への報酬も発生します。

ところで、任意後見制度には取消権がないことがデメリットです。子どもがだまされて契約や高額商品を購入したような場合でも、任意後見人は取り消すことができません。なお、法定後見制度には成年後見人による取消権が与えられています。

 

よくある質問:任意後見人に社会福祉法人など法人をつけることはできますか?

できます。任意後見人が個人の場合には、後見人が亡くなったり認知症になっ財産管理ができなくなる可能性があります。しかし、法人はリスクを避けることができます。

よくある質問:知的障害のある子が任意後見契約を結ぶことは可能ですか?

契約できる能力の基準はありますか?

任意後見は本人が後見人になってくれる人と直接契約を結ぶものです。そこで任意後見制度は障がいのある子に契約の判断能力がないと利用できません。

ところが、この判断能力については、どのような障害があると契約できないといった基準がないのです。つまり、任意後見契約を公証役場で締結するのは公証人ですから障がいのある子に意向を確認する際に、契約内容を理解できているのかどうかを個別に確認することになります。

なお、障がいのある子が未成年の場合には、親が代わりに契約を結ぶことが可能とされています。つまり、障がいのある子の判断能力は問題とされません。

 

よくある質問:親なき後の子がどこに住むのか心配です。親として準備できることには、どんなことがありますか。

 

後見人探しは元気なうちから始める

 

親と同居の場合は、障がいのある子がショートステイなど親以外の第三者の支援を受けながら一人になった場合の生活環境に、慣れる準備を始めておくことが大切です。親が元気なうちから成年後見人を申立てておくことも考えておきましょう。もしも、親自身が認知症になったときにも、入所契約などをしてもらうことができます。親とご本人が信頼できる後見人候補者を探して後見人になってもらい、できるだけ子どもの情報を後見人候補者に知っておいてもらうと親と子がともに安心です。

 

また、子どもさんがグループホームや施設で生活している場合には、子どもさんの障がいの程度により検討することが大切になります。さらに施設側に金銭管理のサービスがある場合には、それを利用することも考えましょう。もしも、そのサービスだけで難しいということであれば、成年後見制度や財産管理契約を依頼し、家族や親族のサポートも検討していくことになるでしょう。

 

親亡き後の手続きも検討していますか?

よくある質問:親亡き後の葬儀や行政手続きや相続手続はどのように考えればいいでしょうか?

子どもに兄弟がいれば安心ですが、一人っ子の他なので、対策を教えて下さい。

 

親として元気なうちに遺言書を作成することを検討しては如何でしょうか。

さらに、遺言書の中で「遺言執行者」を指定しておきましょう。また、財産管理契約とともに「死後事務委任契約」を結んで、もしものときに対応できるようにしておきましょう。

障がいがある子どもで相続手続を一人でできない場合に備えて、遺言書の手続きをしてくれる「遺言執行者」を遺言書に指定しておくことをお進めします。

遺言執行者を遺言の中で指定できますから、遺言書を作成するときに専門家を遺言執行者になってもらうことがいいでしょう。

遺言執行者は、子どもの代理人(本来は遺言作成者の代理人)として不動産の登記手続き、預貯金の解約等の手続きを行うことができます。

なお、遺言執行者は相続手続をしますが、障がいのある子の死後事務委任を契約を結んでおくと、葬儀、病院・施設の入院費の精算、賃貸物件の明け渡しなど、死後の事務全般を第三者に委任することができる契約を生前に結んでおきましょう。

 

死後事務委任契約の注意点がありますので押さえておきましょう。

それは、死亡届に関する法律です。

死亡の届出を出せる人は、法律で親族、同居者、家主や土地管理人、成年後見人、任意後見受任者などに限られます。

専門家が第三者として死後事務委任を契約していても、その受任者は死亡届を提出できません。

死後事務委任契約をする場合は、死亡届も提出できるように任意後見契約の一部として死後事務委任契約をしておくこと大切になります。

 

よくある質問:「親亡き後問題」で親たちの不安を解消できる方法があればアドバイスを下さい。

➀一人で抱え込まないこと

堂々巡りの禅問答のようになることが多いものです。

➁最新の情報をえられるように、地域の市町村役場で相談をすることをお進めします。

③障害のある子どもの相談は、特定の専門家だけで対応しているわけではありませんし、解決できる問題ではありません。

また、福祉的な問題、経済的な問題、法律的な問題など子どもの生活についてトータルな情報と的機関や専門家の支援も必要になってきます。

そうした情報をできるだけ早く収取できる体制をとれるようにすれば親子ともども安心できると考えます。

 

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