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生前贈与の押さえておきたい6つのポイント
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。年間で贈与額が110万円以下であれば生前のうちに相続財産を減らせることを知っている方は多いでしょう。家族間での生前贈与も盛んに行われています。ところが、正しい手続きを踏まなければ、税務署に贈与として認められないケースがあることを知っている方は少ないと思います。そこで、生前贈与の押さえておきたい6つのポイントを解説します。
生前贈与の押さえておきたい6つのポイント
1. 贈与契約書を作成し、贈与の意思を明確にする
生前贈与を行う際に最も重要なのが、贈与契約書の作成です。贈与契約書は、贈与者と受贈者が贈与の意思を明確に示すための書面です。贈与契約書には贈与者と受贈者の署名・押印が必要です。これにより、口頭だけの約束ではなく、法的にも贈与が成立し、双方の合意があることを証明できます。
2. 金銭の流れを明確にする
贈与された金銭の流れを明確にすることも重要です。銀行振込などの方法で贈与を行い、その記録を残すことで、贈与が実際に行われたことを証明できます。現金での贈与は証拠が残らないため、銀行振込を利用して記録を残すことが必要です。
もしも、相続人の一人に相続税の調査があった際に、故人の預金通帳に多額の出金があった場合、調査官から使い道について追及される可能性があります。その際に、現金手渡しでの生前贈与と説明しても、証拠がないため否認される可能性も。なお、銀行振込で生前贈与を行う場合であっても、贈与契約書を作成することが重要です。
3. 贈与税の申告をする
贈与税の非課税限度額を超える贈与を受けた場合、贈与税の申告が必要です。申告を怠ると、後に税務署から指摘を受ける可能性があります。贈与税の申告を正しく行うことで、贈与が正当に行われたことを証明できます。
4. あえて贈与税を申告することで、生前贈与の証拠を残す
贈与税は1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除額の110万円を引いた金額に対して課税されます。1年間の贈与金額が基礎控除以下の場合は贈与税がかからないため、110万円以下で生前贈与を行う人が多いです。
しかし、あえて基礎控除額の110万円を超える贈与を行い、贈与税の申告と納税をすることで税務署に生前贈与の証拠を残す場合もあります。ただし、贈与税の申告をしたからといって、生前贈与が確実に認められるわけではありません。申告と合わせて、贈与契約書を作り、銀行振込にて贈与が実際に行われた形跡を残しておくことが必要です。
5. 定期贈与とみなされないように注意する
毎年一定の金額を贈与していると定期贈与とみなされる可能性があります。定期贈与とみなされた場合、毎年の贈与額が110万円以下であっても、「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利」を贈与したとして、定額で贈与した金額の合計に対して贈与税が課税されます。定期贈与とみなされないためには、毎年贈与契約を結び、その都度時期や金額を変えて贈与を行うことが必要です。
6. 名義預金とみなされないように注意する
もっとも多い名義預金の否認
名義預金とは、口座の名義人と実際に管理している人が異なる預金のことです。親や祖父母が、子供や孫の名義の銀行口座に自分のお金を預金している場合は、名義預金と見なされる可能性があります。名義預金の生前贈与は税務署に否認される可能性があります。子供や孫の名義の銀行口座だから相続財産に該当しないため相続税対策になると考えている人も多いですが、名義預金では生前贈与は成立しません。
生前贈与を成立させるには、子供や孫が実際に印鑑と通帳を管理し、贈与を受けているという認識がなければなりません。つまり、子供や孫が自由に口座のお金を使うことができ、親または祖父母と子供又は孫で贈与について双方の合意をとれていなければなりません。子供や孫名義の銀行口座にお金を振り込んでおり、通帳や印鑑を親または祖父母が管理している場合は、税務署から生前贈与を否認されてしまう可能性があります。
子・孫を思いやる気持ちが台無しとならないために
今回のような親子や祖父母と孫のあいだなどで金銭のやりとりが発生することはまれな事例ではありません。「子のために、孫のために」と財産を渡した気持ちが台無しとならないよう、生前贈与を行う際には、贈与契約書の作成、贈与の意思の明確化、金銭の流れの記録、贈与税の申告をしておき、定期贈与とみなされることを防ぐ手段を知っておく必要があります。解説してきたポイントを押さえて、税務署に否認されないようにしましょう。
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