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未成年でも遺言書を作成すべきパターン
遺言書の作成をまだまだ先だと思っている方にご提案します。30代、40代の若い方でも遺言書を作成した方がいい場合があります。
「未成年の子がいる」パターン1
未成年の子がいるご夫婦で、突然亡くなったときの相続手続きはどうなるか?
年齢に関係なく戸籍上「配偶者」や「子」になっていれば相続人です。この場合、遺産分割協議書を作成するため財産を分ける話し合いをします。
一般的に相続の話し合いは成人した相続人全員で行いますが、財産を全く相続しない場合もあります。父が亡くなり相続人が母と子一人の場合に父の財産を相続できる法定相続分は、母と子が2分の1で分けますが、子は相続をせずに、すべての父親の財産を母が相続することは可能です。
ところが、子どもが未成年の場合はそうならないのです。未成年の子は、遺産分割協議(法律行為)を一人で進めてはならないからです。親権者である母は未成年の子の法定代理人となり子の法律行為をする立場です。しかし、相続の場合には、母も子も同一の権利を持つ相続人であり、母は多く相続することはできないことになっています。相続の場面では、母親の権利と子の権利は別々に分けて考える必要があります。
そこで、特別代理人を選任することになる
上記のケースでは、この相続と関係のない第三者が子の特別代理人として家庭裁判所へ申し立をして特別代理人に選任してもらうことになります。
特別代理人が選任されると、特別代理人と母で遺産分割協議をすることになります。さらに、母親が全部相続するという遺産分割協議はできないのです。なぜなら、特別代理人は子どもの法定相続分の2分の1を確保しなければならないので子どもが遺産分割で不利にならないよう遺産分割協議では主張することになります。
未成年の子どもの親は、相続対策をしていないと以上のような煩雑な手続きが待っています。
めんどうな手続きを避けるには
めんどくさい特別代理人を避ける方法。「妻に一切の財産を相続させる」という内容で遺言書を作成しましょう。夫婦のどちらが先に亡くなるかはわからないので双方が作成します。
未成年の子をもつ親は、子の将来がわかりませんから子に財産を遺すことよりも、配偶者に財産を相続させることで子の生活も一緒に見てもらえますので、子どもが未成年のうちは安全でベストだと考えます。
ただ、子が未成年の場面で作成する遺言書は、子どもが成人に達する頃には家族環境も変わりますし、親子が年を重ねると想いも変わります。節目の年齢に達したら遺言書の内容を見直し、書き直しをお進めします。
「不動産を購入したときに考える」パターン2
不動産は、相続においては分けにくい財産ですが、日本においては70%くらいの方が遺産の上位です。不動産を購入した後は、預貯金はなく返済にあてるために現金などはお持ちでない方が多いと考えられます。
不動産を購入した父が亡くなり、相続人は母、長女、長男の場合でお話しすると、父の財産は7000万円(不動産:6000万円、預貯金:1000万円)の場合、法定相続分では、母が2分の1で3500万円、長男が4分の1の1750万円、長女が4分の1の1750万円です。
家には父と母が住んで、父が亡くなっても母が一人で住むと、不動産は母が相続したほうがよいことになります。5000万円の不動産を母が相続し、預貯金1000万円を子ら二人で500万円ずつ相続するパターンです。この場合、子らが相続する財産は法定相続分を下回りますので、遺産分割協議の話し合いで、子らが同意しなければ相続手続きは進みません。
話をまとめるために不動産を3人の共有にすることも考えられますが、そうすると不動産を売却するときに、3人全員の同意がなければ進みません。話し合いをしなければならないということは避けるべきで、住んでいる母親に不動産を相続させるように遺言書は作成することをお勧めします。
相続の話になると、必ず「財産は、預金と住んでいる家だけだから、相続の話はしなくても大丈夫」と、言う親が圧倒的です。ところが、そのような場合が最も相続争いになる可能性を秘めていることを忘れないでください。
「会社の自社株等の財産」パターン3
創業した、または親の事業を引き継いだ経営者の多くの方々は、自社株をお持ちです。この自社株は、不動産よりも分けにくい、ある意味でやっかいな財産です。
会社は成長するにつれて自社株の評価が上昇していきます。また、個人名義の不動産を会社に賃貸していたり、会社に対する貸付金や会社の経営に関連した財産が多い方がいらっしゃいます。相続の際に上記のような財産は、遺産分割で財産の分け方に苦労することを覚悟しておかれた方がいいと思います。
自社株などの配分に要注意
自社株の対策を何もしないで経営者が亡くなると、個人名義の財産として自社株を相続人間で遺産分割協議をすることになります。会社の経営に関する財産、自社株が後継者以外の相続人へ分けられると会社の存続にもかかわる重大事です。
自社株を引き継ぐことができない第三者が後継者の場合には、生前に贈与または売買で、自社株を遺贈する遺言書を作成しておかなければ、後継者が引き継ぐことはできません。その他の会社の財産も同様です。
会社経営に関する財産が後継者に渡ると、相続人に遺される財産は減少することになります。遺言書を作成して自社株等を後継者へ渡すことだけを考えるのではなく、会社経営にかかわりのない相続人に対する配慮が必要になります。
争族のリスクを考えて、それを避けるために「とりあえず遺言!」を作成することをお進めしますし必要です。経営者は、周囲の状況やご自身の想いが変わったら書き直しや相談ができます。なお、早い段階から専門家に相談をお進めします。