みずた行政書士事務所:〒818-0056 福岡県筑紫野市二日市北2-3-3-205
受付時間 | 9:00~18:00 ※月曜日を除く |
---|
アクセス | 西鉄二日市駅から徒歩3分 駐車場:あり |
---|
知ってますか?2024年から相続ルールが大きく変わっています。
2024年は相続関係の法改正がいろいろあります。1月に生前贈与が相続財産に加算される「持ち戻し」の期間が3年から7年になりました。贈与税の非課税枠年間110万円を活用した「暦年贈与」をしても、7年以内に亡くなると、贈与がせっかくの節税対策が水の泡になってしまう。
なお、持ち戻しの期間は一気に7年になるわけではありません。2024年1月以降の贈与が改正の対象となりますので結果として、持ち戻しの期間が実質7年まで伸びるのは2031年以降の相続発生分からとなります。持ち戻される4〜7年分の贈与のうち100万円までを非課税とする経過措置も設けられます。
相続時精算課税制度が便利になります
同じく1月には、「相続時精算課税制度」に年間110万円の基礎控除が新設されます。相続時精算課税制度は、贈与年の1月1日時点で60歳以上の親や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して、期間や回数を問うことなく、合計2500万円まで非課税で贈与を行えますので利用が進むと思います。
贈与者の相続が発生すると、非課税で贈与された分も相続財産に加算されますが、基礎控除の新設で、相続発生時に持ち戻しの対象となるのは基礎控除を除いた金額の合計になります。
暦年課税贈与の持ち戻しとのダブル改正で注目度があつまっていますが、そもそも相続時精算課税制度は暦年贈与と併用はできません。利用するには事前に税務署への届け出が必要で、かつ、一旦届け出を行うと取り消しはできません。相続時精算課税制度の利用は、使うタイミングを考えて慎重に検討したいものです。
また、1月からマンションの相続税評価額の計算方法も変更されました。マンションの評価額は建物(区分所有権)の評価額と土地(敷地利用権)の評価額を合計して算出しますが、住戸数の多いタワーマンションなどは1戸当たりの敷地利用権が小さく、近隣エリアの土地付き一戸建てや低層マンションより相続税評価額が低く抑えられています。しかも、高層階ほど付加価値が付いて市場価格が高くなり、相続税評価額と市場価格との差が大きくなる傾向にありました。
新ルールで建物の築年数、総階数、住戸がある階、1室の敷地持ち分狭小度(実際の専有面積に対してどれくらいの敷地持ち分を有しているかを表す指標)から評価乖離率を算出することになります。乖離の大きい物件については補正計算をして評価額を市場価格の60%以上となるよう調整します。
すでに保有しているマンションでは、1月以降に発生した相続にも新ルールが適用されることになるため、今後は保有するマンションの相続税の評価額が増えたり、税負担が想定以上に重くなったりする可能性がありますので、注意も必要になります。
4月から「相続登記」が義務化されました。相続人は、相続の開始と相続により不動産の所有権を得たことを知った日から3年以内に当該不動産の名義変更を行わなければならなくなります。遺産分割協議が難航して3年以内の登記が難しい場合は、当該不動産について自分が相続人であることを公示する「相続人申告登記」をしておけばいいことになりました。
しかし、相続人申告登記はあくまで期限内に相続登記ができない場合の緊急措置なので、遺産分割協議がまとまった後に改めて相続登記を行う必要がありますのでご注意ください。正当な理由がなく相続登記が行われない場合、相続人は10万円以下の過料となります。
4月施行後の相続不動産も対象
気を付けたいのは、義務化の対象が4月より前に相続で取得した不動産にも及ぶことです。固定資産税の請求が来るから大丈夫と思っていたら、登記簿上の名義は先代や先々代のままということもよくあります。所有・管理する不動産の名義変更が済んでいるか不安な人は、早めに法務局で登記を確認してください。