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おひとり様のための
「2つの後見制度」

おひとり様のための「2つの後見制度」

 

おひとり様は、多くの方が老後のために財産管理をひとりでしている人も多いでしょう。ところで、65歳以上の高齢者のうちで約12%の方が「認知症」になっているといわれています。そこで、高齢者のおひとり様にとっての財産管理に必要な「判断能力」が今後低下する可能性は避けられませんので対応策を検討しなければなりません。なかでも配偶者が亡くなったり、最初から独身で配偶者がいない「おひとり様」は万一に備える対策をご提案します。

 

その1.自分で自分の財産管理に不安だが、近くに頼れる親族がいないケース

「不動産、預貯金、有価証券などを保有しているおひとり様の例

70歳を過ぎてから、日に日に判断能力や記憶力の衰えを感じています。他県に住んでいる妹はいますが、財産管理を頼む方法はありますか?

 

解答:任意後見制度や、信託制度をご存じですか?

 

●判断能力が低下し始めてからの財産管理法

 

実は、後記高齢者の方は知識としても認知症などになって判断能力が低下してしまうと、自分で自分の財産(不動産や株式)を処分したり、不動産の売却するときに必要な契約を締結したりする能力を失って、処分などが困難となってしまうことをご存じありません。そこで、今なら判断能力がしっかりしているので、家族や第3者にご自分の財産管理等を頼んでおくことが必要なのです。

 

●任意後見制度をご存じですか

 

任意後見制度とは、今は元気なあなたが、もしも判断能力が低下したときに備え、ご自分の後見人を頼んでおき、もしもの時は、その後見人に財産管理などを任せる契約書をあらかじめ交わしておく制度です。後見人は、あなたの判断能力が低下するとあなたに代わり財産管理をしたり、あなたの委任者として契約を締結してくれます。

 

後見人は、あなたの家族や親族でも、第3者として専門家に依頼することもできます。本人と後見人を頼む人と任意後見契約(公証人が作成した公正証書)を交わすことで利用することができる制度です。

 

契約締結後あなたの判断能力が低下したときには、任意後見の契約者(任意後見受任者)が家庭裁判所に任意後見監督人(任意後見人の職務を監督する人)の選任を申し立てます。任意後見受任者が任意後見人に選任されると、任意後見人によるあなたの財産管理が始まります。

 

なお、任意後見人に対しては公正証書で作成した任意後見契約で合意していた報酬を、任意後見監督人については家庭裁判所が決定する報酬を支払うことになります。

 

また、元気なうちから(判断能力が低下する前)、後見人を依頼したい人に財産管理をしてもらいたい場合は、任意後見契約書と同時に財産管理委任契約を結び財産管理を頼むこともできます。

 

●信託制度(通称家族信託といわれています)

 

信託では、あなた(委託者)が信託契約(含む遺言等)により、あなたが信頼できる人(受託者:一般的にあなたの家族)にあなたの財産を譲渡し、受託者(あなたの家族)はあなた(委託者)が契約書で定めた信託目的に従ってあなた(受益者)のためにその財産の管理・処分をするという制度のことです。

 

例:あなたの弟(受託者)様にあなたの判断能力が低下する今、あなた(委託者)が、あなたの弟(受託者)と、あなた(受益者)とした信託契約を結び、あなたの不動産(一部でもよい)の名義をあなたがあなたの弟に名義を移します。それを、あなたが弟様にその不動産の管理・賃貸等・売却などを任せて、あなたご自身のために財産を管理等してもらう方法により、あなたの財産を活用してもらうというという考え方です。

 

あなた(受益者)のためにあなたの弟様(受託者)を監視・監督する信託監督人を選任するという方法もできます。

 

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もしも認知症になったときの財産管理はどうするのか?

 

おひとり様(70歳)のわたしは、元気に一人暮らしをしています。

もしも、認知症になってしまった時の財産管理はどうなるのでしょうか?

 

法定後見という制度が用意されています。

 

●まったく判断能力がなくなったときの財産管理

 

認知症になり、判断能力がなくなってからでは、任意後見契約も財産管理契約ましてや信託を利用することはできません。

 

●法定後見制度の利用について

 

法定後見制度は、認知症や精神障害などにより判断能力がない方を、家庭裁判所に申立をして選任された成年後見人が、支援する制度です。

なお、本人の判断能力の程度により、後見、保佐、補助の3つタイプが用意されています。

 

法定後見を利用するには、家庭裁判所に対して申立てを行う必要があります。この申立てをすることができる人は、本人、配偶者、4親等内の親族(任意後見人、任意後見受任者)他です。

 

●法定後見とは

 

法定後見制度の対象者(成年被後見人といいます)は、精神上の障害により、判断能力を欠く常況にある人を指します。

法定後見が始まると、対象者は日用品や日常生活の行為などは自分でできますが、それ以外は成年後見人が行うことになります。

もしも、対象者自身が行った法律行為は法定後見人は取り消すことができます。

 

なお、成年後見人が、あなたの家や土地を、売却、賃貸、賃貸借の解除や抵当権の設定などを行う場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。

 

●保佐とは

 

保佐とは、精神上の障害により、判断能力が著しく不十分な方ものことです。

 

保佐が開始されると、あなたは、借金や不動産の処分などの重要な行為や、家庭裁判所の審判によって定められた行為は、保佐人の同意がいることになります。

 

保佐人はそのほか家庭裁判所の審判できめられた法律行為の代理権を持ちます。

 

●補助とは

 

補助の対象者は、精神上の障害により判断能力が不十分な人を指します。あなたは、家庭裁判所の審判で付与された特定の法律行為については、補助人の同意が必要です。

 

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