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相続人以外から遺言で遺産をもらうと
どうなる相続税
法定相続人以外の相続は遺贈です。遺言書を作成しましょう
「おひとり様が「もしも」お世話してくれたご近所に財産を遺したら」
「介護をしてくれたパートナーに財産を遺せるか?」
「嫁に遺産を遺したら?」
相続人以外の方に、財産を遺したいと考えていらっしゃる方、相続について考えましょう。
遺産を相続できるのは、原則として法定相続人にだけです。法定相続人以外の方に遺産を遺贈してもらうには、元気な今遺言書の準備をしましょう。
〜相続人以外の人に贈る場合は注意が!〜
遺言書を作成して相続人以外に遺贈することは、法定相続人による遺産分割協議より優先します。しかし、自筆で遺言書を作成する場合も民法で決められたルールにしたがい➀署名、➁押印、➂作成年月日、④全文自署などの各ポイントに気を付けないと遺言が無効となってしまう恐れがあります。
また、法定相続人以外の方に遺贈する場合は、法定相続人に遺留分の配慮することが大切です。遺言は本人の意思として最大限に尊重されますが、法定相続人側には「遺留分」という権利があることをお忘れにならないようにしましょう。遺言書を作成する場合は、この遺留分を侵害しないように考えて作成することが大切です。さらに、遺言書に書いた通りに相続を実現するためには、遺言書のなかで遺言執行者を指定しておく方がいいので進めしています。
法定相続人以外に遺贈する
遺言書作成の5つのポイント
ポイントその1:公正証書遺言での作成
遺言書は、一般的に利用する3種類が知られています。1.「自筆証書遺言書」、2.「公正証書遺言書」、3.「秘密証書遺言書」ですが、この中で公正証書遺言をお進めします。その理由として自筆証書遺言は費用がかからず、メリットとして手軽に作成できる点がありますが、文中に不備な文言があると無効になってしまうことがあります。公正証書遺言は、遺言の作成に公証人が関わりますので、文言や遺言書の形式上の不備など無効の恐れがほとんどないので、お勧めしています。
ポイントその2.遺留分の侵害は絶対にしないようにすること
遺言書の内容が、遺贈を受ける人のみに有利になっていたり、相続人の中でも一部の人だけに不利があったりしないように、相続人(兄弟姉妹は遺留分権はありません)には遺留分が保証されているので注意しましょう。遺言書で「お隣さんに一切の財産を遺贈する」と書いても、相続人の一部の方でも遺言書の内容に納得できなければ、遺留分を請求することができるのです。(遺留分侵害額請求)
だから、お世話になった方に財産を遺贈したい場合は、遺留分を侵害しない範囲で遺贈分を決めるようにしましょう。遺贈する場合、遺産の2分の1が遺留分の合計となります。遺贈できる分は遺産の2分の1までとなります。
ポイントその3:遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する人のことです。なお、不動産の遺贈を受けた受遺者は不動産の名義変更(所有権移転登記といいます)を令和5年4月1日より単独申請が可能になっています。
不動産を取得することに納得していない相続人や、相続人が遠方に住んでいる場合には、相続人の協力を得るのに受遺者に負担がかかってしまうことが予想されますので、単独で相続登記ができるようになって、登記手続きがスムーズに進むことになりました。
なお、遺言執行者の指定は任意ですが、相続人にとっては指定されていると手続がとても楽になり便利ですから、当センターでもお勧めしているところです。
ポイントその4:付言事項を利用しましょう。(遺言や遺贈する理由や遺言を書く方の思い)
法定相続人は、遺贈により遺産を相続する人数が増えるわけですから、相続分(遺産額)が減る可能性がでてきます。相続財産が、法定相続人以外の他人(第三者)へ遺贈されることに当然に納得することができませんから、遺産分割協議の話合いはまとまらないこともあるかもしれません。
そこで、遺言書をお書きになるご自身の思い(理由)を付言事項として遺言書の中で記載することをお進めしているところです。例えば、相続人の長男のお嫁さんに遺産を遺贈する場合、「嫁の●●は、長い間妻と私の介護をしてくれた。私は、すこしでも感謝の気持ちを形にしたいと遺言しました。長女も次男も、この気持ちを理解して下さい。これからも家族みんな仲良くしてくれることを願っています」とご自分の意思を付言事項に書き残すといいでしょう。
ポイントその5:生前に相手(受遺者)と相続人に遺言の内容を伝えましょう
遺言書に付言事項として意思を書きておくことも大切ですが、受遺者の方と相続人に遺言書の内容は事前に伝えることも検討しましょう。受遺者には、生前から財産を遺贈する理由や思い(お礼)を伝え、相続人にも納得が得られ、せっかくの遺言が相続トラブルになることを未然に防ぐことができると思います。
注意1.不動産取得税や登録免許税がかかる場合がある
相続または遺贈により不動産を取得した者は、所有権が移転したことを法務局に登記しなければなりません。この登記の際に課されるのが登録免許税です。相続人が相続又は遺贈により取得した不動産については、0.4%の税率が適用されます。他方、相続人以外の者が遺贈により取得した不動産については、5倍の2%の税率が適用されます。
登録免許税を算出する際に税率を乗ずる課税標準は、固定資産税評価額です。
不動産の評価額はある程度大きな金額であるのが通常です。たとえば固定資産税評価額が1,000万円の不動産であれば、相続人が所有権移転登記を行う場合には、登録免許税は4万円で済みますが、相続人以外の者の登記では、20万円と高額になります。
注意2.法定相続人が相続または遺贈により取得した不動産には、不動産取得税は課されません。しかし、法定相続人以外の者が遺贈により取得した不動産には不動産取得税が課されます。
不動産取得税の計算は特別控除や軽減税率規定等があり少々複雑です。現状は、土地および住宅は3%、住宅以外の建物は4%の税率で不動産取得税が課されます。
このうち土地については、令和6年3月31日までの取得は、課税標準を2分の1とする軽減措置があります。
注意3.不動産取得税の計算方法と税率
不動産取得税の税額は次の計算式により算出します。
①取得した不動産の価格(課税標準) × ②税率 = 税額
①「取得した不動産の価格」は、固定資産評価額となります。
②税率は以下のとおりです。
取得日 土地 家屋(住宅) 家屋(非住宅)
平成20年4月1日から
令和6年3月31日まで 3% 4%
※土地の取得は、非住宅の敷地でも3%です。
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