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銀行が遺言書を勧めてきたら注意
3つの「落とし穴」とは?
銀行から遺言書を勧められたら注意する3つの落とし穴
お盆が近づいてくると考えたいのが、子どものための「相続」についてです。特に遺産が大きいお金持ちにとっては、相続は悩みの種です。相続対策の手続きを面倒と思って、「預金額の一番大きい銀行に頼もう」と考える人が多いかもしれません。しかし、銀行に相談する前に相談の中身をしっかり考えておかないと、高い費用を支払うことになり、損をすることもあります。そこで、特に皆様が銀行に相続の相談する際の注意点をお話しします。(相続相談福岡センター代表 水田耕二)
家族が集まるお盆は相続について考えるチャンス
遺産でもめないためには?
8月が近づくとすぐお盆です。年に一度の家族で集まるお盆こそ、相続のことを話し合うチャンスではないのでしょうか。子ども達と話し合う機会はどんどんと少なくなっていきますから、お盆に子らの考えを聞くことで「相続」の事前打ち合わせができます。まずはお金持ちの富裕層が相続で考え違いをしがちな相続の注意点について、お話しします。
一般的に、銀行は千万単位の預金者に、担当営業が投資勧誘をすることがよくあります。もう一つが、遺言書の作成を勧誘です。
遺言書を作成することは、高齢者にとってとても大事なことです。遺言書がないために親の死後に相続人の子どもたちが遺産分割で紛糾して家族が喧嘩別れをしてしまうケースは多々あります。「兄さんはお父さんから、大学入学金や学費を全部出してもらっていいよね! 私はその分多く遺産をもらうつもりだから」といった具合です。
その点で、遺言書を作成しておけば、家族で遺産分割の話合いをする必要もなく相続手続は終わります。遺言書の通りに、遺産を粛々と相続手続をすることができます。
最近、銀行では、遺言書の作成受注業務に力を入れています。銀行の前を通るとノボリやポスターに「遺言書」と書いてあるのを見た方も多いと思います。いわゆる、公正証書遺言の作成援助です。
ここで、銀行で遺言書を作る場合は「3つのポイント」において割高だということに注意しましょう。
銀行から遺言書作成を提案されたら
気を付けたい「3つのポイント」
通常、公正証書遺言を作成したい人は自分で公証役場に行けば、無料で遺言書を作成することができます。ただし、公証役場に公証人の手数料を支払うことになります。この手数料は財産の額によって金額が定められています。例えば、5000万円超~1億円以下の場合、手数料は4万3000円です。
ところが、銀行に遺言書を依頼すると多くの場合は、これより高い費用がかかります。各銀行によってプランは異なりますが、安いところで30万円台ということが多く、高い銀行は100万円台になることも珍しくありません。
ところが、どちらのケースでも公証役場に支払う報酬は別途かかります。そこで、自分で公証役場に行ける人は、銀行に依頼せずに、まずは自分で公証役場に行きましょう。銀行という「仲介業者」を公証人と皆さんの間に介在することになるので、費用が高くなるのは当然です。これが高くなるポイント1の理由です。
2つ目は、遺言書を作成したあとに、毎月かかる費用として遺言書の保管手数料が発生する点です。公正証書遺言を作成すると、遺言の正本と謄本を公証人から受け取ります。これらを銀行に保管してもらうのに、多くの場合、年間では安い銀行で6000円程度かかります。
そもそも、遺言書の原本は公証役場において保管してくれます。もちろん、無料です。しかし、銀行では遺言書の保管に毎年費用がかかるというわけです。
3つ目が、遺言執行にかかる報酬です。作成した遺言書の通りに執行する役目を担うのが、遺言執行者です。そもそも、遺言執行者は原則として置くことは任意のものですが、銀行が関与して作成すると多くの場合で遺言執行者は銀行です。
もちろん、遺言執行者を置くことのメリットはあります。それは、長男が財産の大半を相続する内容の遺言において長男が遺言執行者になる場合に、「大半の遺産を相続するのが長男で、なおかつ長男自身がその遺言を執行する」ことになり、他の兄弟からすると長男が親に書かせたのではないかといった不満を持ちやすくなります。そこで、第三者を遺言執行者とする遺言であれば、遺言書の公平性・中立性が保たれやすいのです。
ただし、遺言執行者の費用がかかります。その費用の額は遺産の金額にもよりますが、遺言執行者の報酬として最低100万円から、中には数百万円もかかることもあります。銀行の場合、ある程度の預金額のある人に遺言書作成を勧めることが多く、遺言執行の報酬額も高額になることが考えられます。
そもそも、遺言書の作成は家族間の争いを減らすことができる決定的な方法ですので、作成はお進めです。しかし、金融機関に遺言執行を依頼すると数百万円の費用がかかるケースはザラにあります。遺言書の作成や遺言執行を誰に頼むかということは十分に検討していただきたいところです。
事業承継で節税対策
銀行がホールディングス化を勧める事情
最後に、会社経営者の場合には、銀行から相続対策として「ホールディングス化の導入」の提案を受けたという話がよくあります。
多くの中小企業経営者は、事業承継で悩んでいます。ある商工リサーチの調査では現在、全国の社長の平均年齢は62歳を越えており、調査開始以降、過去最高を記録したといいます。経営者は、事業承継に対する方法を求めています。
一番の相談相手は顧問税理士ということですが、この事業承継に精通している税理士は少なく、いきおい、中小企業の社長としてはメインバンクの銀行に意見を求めることが多いです。そして、その場合、銀行の多くはM&Aやホールディングス化を勧めるのです。
ではホールディングス化とは何かについて説明します。
ホールディングス化とは、例えばもうかっている本体の会社を甲株式会社として、その上に甲株式会社の株式を持つ親会社的な存在のA社を作ることです。このA社が、「甲ホールディングス」となるわけです。
この甲ホールディングスが甲株式会社の株を買うときに多額の買取資金が必要になります。そこで甲ホールディングスは、銀行から融資を受けて甲株式会社の株を買うのです。
ホールディングス化は、自社株の評価額を抑える効果が見込まれ、相続税の節税対策につながります。一方で、甲株式会社の株を買うために銀行から多額のお金を借りるので、当然借金が増えます。
融資を使わずにできる方法もあると知っていても、融資を業務とする銀行がそのような提案をすることはビジネスチャンスを失うことになりますから、たとえそのような手法があると分かっていても切り出すことは難しくなります。
つまり、「融資ありきの提案」ということを理解した上で、自社にメリットがあるのか、融資を受けないでできる方法はあるのか事前に検討しておくべきです。
大手の銀行は、担当者の転勤や行政庁の意向で突然方向が変わることもあります。今までは融資にも応じてくれていたのが、借り換えに応じないなどの変更はよくあります。よほどの顧客でない限り、銀行との関係は担当者止まりです。
なお、信用金庫などの中小の銀行は異動も少なく、密な関係を築きやすいといえます。自社の業績によっても、信金なのか、地銀なのか、メガバンクなのかは異なります。自社の規模に見合った金融機関との取引を考えましょう。
相続相談福岡センター | |
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