「実家」の相続トラブル

「実家」の相続トラブル

不動産の相続は問題になりやすい

実家を相続する人が、トラブルを未然に防ぐにはどうすればいいのか

まず、実例を紹介します。

敷地400坪の土地を長男と弟が共有し、住んでいました。

長男は前面道路を使い、弟は住む土地は道路に面していませんが、長男側の土地を通路として使って道路に出ていました。

その後、長男が亡くなり、長男の土地は兄の嫁が相続しました。

すると、弟が自分の土地を通路として使っていることに文句をいい始めます。さらに、相続した土地を業者に売却したいといい出しました。

そうなると、そこに住んでいる弟としてはたまったものではありません。

双方の主張が衝突して決着がつくまでに2年以上かかってしまいました。

 

■共有の土地がトラブルに発展したケース

親からの相続で所有した共有の土地の持ち分は、長男が6割、弟が4割でした。あいまいなまま兄弟で活用し、二次相続でトラブルに発展した例です。

核家族化が進みこのような相続争いは非常に増えています。

特に不動産は、ほかの遺産と違って分割が簡単ではなく、土地の評価の算出方法も難しい財産です。「親としては兄弟姉妹の共有名義にしておこう」などと安易に考えがちですが、そこに将来的に問題を発生させる可能性が産まれるのです。

親が生きている間は兄弟姉妹の仲が円満でも、親の死後はどうなるかわかりません。また、親の子たちが亡くなった時に、いとこ同士が良好な関係を続けられるとも限りません。

共有名義の土地を相続することは、下の世代に争う元を相続させますから、共有で相続するのは避けるべきだと思います。

 

介護を巡るトラブルは多い

親の介護が絡んでくるケースも、不動産の相続トラブルの要因になります。

こんな例もありました。

2人姉妹で、長女は結婚して家を出て、次女は家に残って父親と暮らしています。

ある時、父が家の相続のことを考え、長女の子(父親にとっては孫)と父親が養子縁組をして、孫が同居することになりました。しかし、どういうわけか孫は途中で一緒に住むのをやめ、長女の家に戻っていってしまいました。

そんな状況で父親が亡くなり、相続が発生して相続人は、長女、次女、養子である孫の3人です。

そして長女と孫は、父親の生前ほとんど何の世話もしていないのに、3分の1の均等相続を主張してきました。

ずっと世話をしてきた次女は納得がいかず、調停に発展し、泥沼の争いに。

このようなケースは今後も増えていくのではないでしょうか。

相続財産が実家の土地・建物のみで、現金はほとんどないといったケースも問題になりがちです。

このような実家に、たとえば長男が同居していたら、その分割方法に悩むことになります。もし長男が独身なら、相続発生後に実家を売却して、そのお金をきょうだいで分割して、自分は他に住むところを探すといった身軽な選択ができるかもしれません。しかし家族と一緒に住んでいたほかの兄弟はそうはいきません。

売却して自宅をすぐに探すのは難しいので、自分が土地・建物を相続する代わりに、きょうだいには現金を渡す代償分割が第一に考えられます。しかし、現金の持ち合わせがなければそれもできません。

また、長男が親の介護をしていたとなれば、相応の費用を要求することになりますので、その分の多めに遺産について争いになる可能性が残ってしまいますからややこしい相続になるはずです。そうすると遺産の分割をどうするかで兄弟と揉める可能性があります。

協議がまとまらない場合は家庭裁判所の調停に委ねることになり、時間やコストがかかりストレスも溜まります。

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フランクに話し合う場を設ける

相続トラブルを未然に防ぐ上で重要なことは、やはり親が相続人に対して自分の思いを明確に示しておくこと です。

元気で判断力なうちに、何らかの形で相続の方法を伝えておく必要があります。亡くなってしまった後では何も伝えることはできないのです。

具体的な方法としては、まず第一に遺言書があります。遺言書はちょっとハードルが高いと感じるなら、エンディングノートも可能性としてはあります。

いずれにしても、親は相続人に対して、自分の思いを伝える機会が必要になります。

親は、相続人の子らが住んでいる実家がどうなるのか、相続についてどう考えているのかが心配なら、話し合う場を設けてください。

親が「自分が死んだ後は子どもたちにこの家を使ってほしい」と思っていても、子どもは「実家の不動産に興味がない」という場合もあります。話さなければ双方の胸の内はわかりません。

100年時代ですから、親が認知症になってしまう可能性もあります。また、永遠のお別れが来て、本当の思いを聞けなかった……と子供らが後悔することも考えられます。

そうなる前に、親と話すきっかけをつくるようにしましょう。

普段、親と離れて暮らしている場合でも、正月やお盆などに帰った時、お墓参りに行った時、親戚の法事があった時など、家族が集まる機会は年に数度はあるはずです。

ただし、法定相続人となる子どもたちから全員集合して「家族会議」だと意気込んで詰め寄られると、親は「財産を狙われているのか?」とあらぬ疑いを持ち、話しにくい雰囲気になってしまうかもしれません。

親に昔話を語ってもらうような雰囲気で、実家を建てた経緯などをしてもらい、「将来的にはどうしようと思っているの?」とやわらかく切り出してみるのがいいのではないでしょうか。話を聞いてあげることを前提に話を聞かせてもらうことは親孝行にもつながります。

その際、エンディングノートを買って渡してあげ、遺言書のつなげるのもいいでしょう。できるところを親子で少しずつ始めていくようにしましょう

「負動産」にしないためには、いつから決めておく?

親がいつまでも元気とは限らない

相続をスムーズに行なうことは、準備が大切です。

特に、相続財産のなかに実家の不動産が含まれている場合は、それを将来的に「負動産」にしないためにも、親が元気な早いうちから対策をスタートさせておきましょう。

いつぐらいから始めればいいのかと疑問に思うかもしれませんが、これについて親が考えることで明確な答えはありません。

少なくとも親の年齢が目安になることはないでしょう。今は元気でも、いつまで健康なのかは、誰にもわからないからです。

人生はまさかの連続です。思い立ったところで考えることがベストかもしれません。

厚生労働省「簡易生命表(令和2年)」では、主な年齢の死亡率(1年の間に亡くなる確率)は次のようになります。

50歳男性の死亡率 0.245%

50歳女性の死亡率 0.145%

60歳男性の死亡率 0.623%

60歳女性の死亡率 0.281%

70歳男性の死亡率 1.676%

70歳女性の死亡率 0.679%

ただ、死亡率は年とともに徐々に上がっていきます。自分の親がいつまでも元気とは限りません。

そう考えると、相続について考え始めた今が、準備をするスタートラインと思ってもいいかもしれません。

一次相続が発生した時がいい機会

とりわけ真剣に考え始めるのに適したタイミングは、 両親のどちらかが亡くなり、片親になった時(一次相続) です。

たとえば父親が亡くなり、母親が残されたとします。この場合、母親と自分たち子どもが法定相続人になります。

この時は、多くの家庭で、母親がまだまだ元気なうちは、とりあえずは母親が、今後の生活のために全部の遺産を相続するという結論になることが多いでしょう。

そこでは、「自分たちは面倒な相続手続きから逃れられた」と考えないことです。

いつ母親が亡くなり、二度目の相続(二次相続)が発生するとも限らないからです。

親の問題ではありますが、自分の問題でもあるのです。

だからこそ、この機会に、将来発生する相続についても話し合っておくことが大切です。

 

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