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成年後見制度とは?
高齢化が進む日本では、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分になる方が増えています。
そうした方々が不利益を被らないように、財産管理や契約行為などをサポートする仕組みが「成年後見制度」です。
この制度は、本人の判断能力の程度や状況に応じて、家庭裁判所が後見人を選任し、本人の生活や財産を守るための支援を行います。
成年後見制度の2つの種類
成年後見制度には大きく分けて2つの種類があります。
1. 法定後見制度
すでに判断能力が低下している人を対象に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
さらにこの中には、判断能力の程度に応じて3つの類型があります。
補助:判断能力が不十分な人が対象。特定の行為について補助人の同意や代理が必要。
保佐:判断能力が著しく不十分な人が対象。重要な財産行為などに保佐人の同意が必要。
後見:判断能力を欠く常況にある人が対象。後見人が全面的に代理して行為を行う。
2. 任意後見制度
まだ判断能力があるうちに、将来に備えて自ら後見人を選び、契約を結んでおく制度です。
判断能力が低下したときに、あらかじめ選んでおいた後見人が支援を開始します。
制度の利用状況とその背景
令和6年の成年後見制度の申立件数は4万1841件で、前年より約2.2%増加しています。内訳は以下の通り:
後見開始:2万8785件(全体の約69%)
保佐開始:9156件(約22%)
補助開始:3026件(約7%)
制度の利用者数は25万3941人にのぼり、年々増加傾向にあります。
これは高齢化の進行とともに、認知症などによる判断能力の低下に備える必要性が高まっていることを示しています。
成年後見制度を利用する主な理由
申立ての動機として最も多いのが、「預貯金などのお金の管理・解約」です。実に92.7%の申立てでこの理由が挙げられています。その他にも、以下のような理由があります:
不動産の管理・処分
介護サービスの契約
医療・施設入所の手続き
詐欺や悪徳商法からの保護
これらの理由からもわかるように、成年後見制度は本人の生活を守るための重要なセーフティネットとなっています。
成年後見人は誰に頼む?
さて、本題です。
「成年後見人は誰に頼むべきか?」という問いに対して、実際のデータを見てみましょう。
実際に選ばれている後見人の内訳
令和6年のデータによると、後見人に選ばれた人のうち、約82.9%が親族以外、つまり専門職です。親族が選ばれたのは約17.1%にとどまっています。
親族以外の内訳は以下の通り:
司法書士:34.7%
弁護士:25.7%
社会福祉士:20.1%
このように、成年後見人の多くは法律や福祉の専門家が担っているのが現状です。
なぜ専門職が選ばれるのか?
財産管理の複雑化 近年は金融商品や不動産など、管理が難しい資産を持つ人が増えています。
専門的な知識が必要な場面も多く、法律や会計に精通した専門職が適任とされます。
親族間のトラブル回避 相続や財産管理をめぐる親族間の対立を避けるため、第三者である専門職に依頼するケースが増えています。
公平性の確保 専門職は中立的な立場で本人の利益を最優先に行動するため、信頼性が高いとされています。
親族に頼む場合のメリットと注意点
もちろん、親族が後見人になることにもメリットはあります。
メリット
本人の生活や性格をよく理解している
日常的なコミュニケーションが取りやすい
感情的なつながりがあるため、本人の希望を尊重しやすい
注意点
財産管理に関する知識が不足している場合がある
他の親族との間でトラブルになる可能性がある
後見人としての責任や手続きの負担が大きい
専門職に頼む場合のメリットと費用
専門職に依頼する場合、以下のようなメリットがあります。
メリット
法律や福祉の専門知識を活かした適切な支援が受けられる
中立的な立場で公平な判断が期待できる
財産管理や契約手続きがスムーズに進む
費用について
専門職に依頼する場合、報酬が発生します。
報酬額は家庭裁判所が決定し、月額2万円〜6万円程度が一般的です。
財産の内容や支援の内容によって変動します。
任意後見制度を活用する選択肢
判断能力があるうちに、信頼できる人を自分で選んでおく「任意後見制度」も有効な手段です。
将来の不安に備えて、あらかじめ契約を結んでおくことで、より自分らしい支援体制を整えることができます。
任意後見人には、親族でも専門職でも指定できます。
契約内容も柔軟に決められるため、本人の希望を反映しやすいのが特徴です。
まとめ:誰に頼むかは「信頼」と「準備」がカギ
成年後見制度は、判断能力が低下したときに本人の生活と財産を守るための大切な制度です。
誰に後見人を頼むかは、本人の状況や家族関係、財産の内容などによって異なります。
親族に頼む場合は、信頼関係と責任感が重要
専門職に頼む場合は、知識と中立性が強み
任意後見制度を活用すれば、自分の意思を反映しやすい
まずは制度について正しく理解し、家族や専門家と相談しながら、自分に合った後見人を選ぶことが大切です。
未来の安心のために、今から準備を始めてみましょう。
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