相続相談福岡センター:〒818-0056 福岡県筑紫野市二日市北2-3-3-205
1. 墓じまいとは何か
「墓じまい」とは、現在あるお墓を閉じて、遺骨を別の場所へ移す(改葬する)ことを指します。 少子化・核家族化・都市部への移住などにより、従来の「家墓」を維持することが難しくなり、墓じまいを選ぶ家庭が増えています。
墓じまいは単なる「片付け」ではなく、法律上の手続き(改葬許可)が必要であり、寺院や霊園との調整、遺骨の取り扱い、費用の見積もりなど、複数のステップを丁寧に進める必要があります。
2. 墓じまいを考える背景とよくある悩み
墓じまいを検討する理由は家庭によってさまざまですが、代表的なものは次の通りです。
• 後継者がいない 子どもがいない、娘だけで嫁いでいる、遠方に住んでいるなど。
• お墓が遠くて管理が難しい 年齢的に墓参りが負担、交通費が高いなど。
• 維持費が負担 永代使用料・管理費・寄付などが重荷になっている。
• 家族の価値観の変化 合葬墓や樹木葬など、個人単位の供養を選びたい。
墓じまいは「ご先祖を粗末にする行為」ではなく、現実的に無理のない形で供養を続けるための前向きな選択です。
3. 墓じまいの全体の流れ
墓じまいは大きく分けると次の7ステップです。
1. 家族・親族との話し合い
2. 受け入れ先(新しい供養先)の決定
3. 現在の墓地管理者(寺院・霊園)への相談
4. 行政手続き(改葬許可申請)
5. 墓石の撤去・遺骨の取り出し(閉眼供養)
6. 新しい供養先への納骨
7. 墓地の原状回復・精算
それぞれのステップを詳しく説明します。
4. ステップ1:家族・親族との話し合い
墓じまいで最も重要なのは、親族間の合意形成です。 トラブルの多くは「事後報告」「意見のすれ違い」から生まれます。
話し合いのポイント
• なぜ墓じまいを考えているのか
• 今後の供養をどうしたいか
• 費用負担をどうするか
• 新しい供養先の希望はあるか
• 寺院との関係性をどう考えるか
長男家・次男家・嫁ぎ先など、立場によって意見が異なるため、早めの情報共有と丁寧な説明が不可欠です。
5. ステップ2:新しい供養先を決める
墓じまいは「遺骨の行き先」が決まらないと手続きが進みません。 代表的な選択肢は次の通りです。
① 永代供養墓(合祀墓・個別墓)
寺院や霊園が管理し、後継者がいなくても供養が続く仕組み。 費用は数万円〜数十万円。
② 樹木葬
自然の中で眠るスタイル。個別区画型と合葬型がある。
③ 納骨堂(ロッカー式・自動搬送式など)
都市部で人気。アクセスが良く、管理が楽。
④ 散骨(海洋散骨・樹木散骨)
自然に還る供養。法律上は問題ないが、親族の理解が必要。
⑤ 手元供養
遺骨の一部を自宅で保管する方法。 他の供養と併用されることが多い。
選ぶ際のチェックポイント
• アクセスの良さ
• 管理費の有無
• 個別か合祀か
• 宗教・宗派の制限
• 契約内容の明確さ(永代供養の期間など)
6. ステップ3:現在の墓地管理者へ相談
寺院墓地の場合は特に、住職への相談が重要です。 檀家制度がある場合、墓じまいは「離檀」に関わるため、丁寧な説明が必要です。
寺院への相談で確認すべきこと
• 墓じまいの意向を伝える
• 離檀料の有無と金額
• 閉眼供養(魂抜き)の日時
• 墓石撤去業者の指定の有無
• 書類への署名(改葬許可申請に必要)
離檀料は「お気持ち」とされますが、実際には数万円〜数十万円が相場です。 トラブルを避けるためにも、事前に金額を明確にしておくことが大切です。
7. ステップ4:行政手続き(改葬許可申請)
墓じまいの中心となるのが、市区町村役場での改葬許可申請です。
必要書類
• 改葬許可申請書
• 現在の墓地管理者の署名・押印
• 新しい供養先の受入証明書
役場に提出すると、改葬許可証が発行されます。 これがないと遺骨を移動できません。
8. ステップ5:墓石の撤去・遺骨の取り出し
改葬許可証が揃ったら、墓石の撤去と遺骨の取り出しを行います。
流れ
1. 閉眼供養(魂抜き) 寺院墓地の場合は住職に読経してもらう。
2. 墓石の撤去工事 石材店に依頼。相場は10〜30万円。
3. 遺骨の取り出し 土中に埋葬されている場合は丁寧に掘り出す。
注意点
• 石材店は墓地によって指定業者がある
• 遺骨が土に溶けている場合は「土ごと」取り扱う
• 複数の遺骨が混ざっている場合は分けられないこともある
9. ステップ6:新しい供養先へ納骨
遺骨を新しい供養先へ移し、納骨します。
納骨時に必要なもの
• 改葬許可証
• 契約書
• 遺骨(骨壺または粉骨)
納骨式を行うかどうかは供養先によって異なります。 永代供養墓の場合は簡易的な式で済むことも多いです。
10. ステップ7:墓地の原状回復と精算
墓石撤去後、墓地を更地に戻して返還します。 寺院や霊園と最終的な精算を行い、墓じまいは完了です。
11. 墓じまいにかかる費用の目安
一般的な費用の相場は次の通りです。
項目 費用の目安
墓石撤去費用 10〜30万円
閉眼供養のお布施 3〜5万円
離檀料 3〜30万円
新しい供養先の費用 5〜100万円
改葬手続き 数百円〜数千円
合計すると、20〜100万円程度が一般的です。 ただし寺院との関係性や墓地の規模によって大きく変動します。
12. 墓じまいで起こりやすいトラブルと対策
① 親族間の意見の対立
→ 早めの共有、丁寧な説明、第三者の専門家の同席が有効。
② 寺院との金銭トラブル
→ 離檀料は「お気持ち」だが、事前に金額を確認すること。
③ 新しい供養先の契約トラブル
→ 永代供養の期間、合祀のタイミング、返金の有無を必ず確認。
④ 遺骨の状態による問題
→ 土に還っている場合は専門業者に相談。
13. 墓じまいを成功させるためのポイント
• 焦らず、段階を踏むこと
• 家族の価値観を尊重すること
• 寺院・霊園との関係を大切にすること
• 書類・契約内容を必ず確認すること
• 専門家に相談すること
14. まとめ
墓じまいは「お墓を片付ける作業」ではなく、これからの供養をどう続けていくかを家族で考えるプロセスです。 手続きは複雑ですが、順序立てて進めれば必ず完了します。
家族が墓じまいの話を始めるまでの「時間」と「段取り」
1. 話し始めるまでに必要な“心理的準備期間”
多くの家庭では、墓じまいの話題は 「気になっているけど、切り出しにくい」 という状態が長く続きます。
一般的に、
• 墓じまいを考え始めてから
• 実際に家族に話を切り出すまで
数か月〜1年ほどかかるケースが多いです。
理由は次の通りです。
● ① ご先祖への申し訳なさ
「墓を閉じる=粗末にする」という誤解が根強い。
● ② 親族の反対が怖い
特に長男家・本家筋は“責任”を感じやすい。
● ③ 寺院への説明が不安
離檀料や関係性の悪化を心配する。
● ④ 自分の中で結論が固まっていない
「本当に墓じまいでいいのか」と迷い続ける。
このため、話し合いの前に“自分の気持ちを整理する時間”が必要になります。
2. 家族に話す前にやっておくべき準備(段取り)
家族会議をスムーズにするためには、 いきなり話すのではなく、事前準備が8割です。
以下は、実務で最も効果的だった段取りです。
【段取り①】現状の課題を“事実ベース”で整理する
感情ではなく、事実をまとめることで家族が納得しやすくなります。
例
• お墓が遠くて年に1回しか行けない
• 管理費が毎年○万円かかる
• 後継者がいない
• 自分が高齢になり、墓参りが負担になってきた
「誰が見ても同じ結論になる情報」を揃えるのがポイントです。
【段取り②】新しい供養先の候補を軽く調べておく
家族は「墓じまいの後どうするの?」が一番気になります。
候補を2〜3つだけ示すと、話が前に進みやすいです。
例:
• 永代供養墓(費用○万円〜)
• 樹木葬(アクセス良好)
• 納骨堂(管理不要)
「まだ決めていないけど、選択肢はあるよ」という姿勢が安心感を生みます。
【段取り③】寺院・霊園との関係性を確認
檀家の場合は特に重要です。
• これまでの付き合い
• 年間の負担
• 離檀の可能性
• 住職の性格や対応
ここを把握しておくと、家族の不安が減ります。
【段取り④】話し合うタイミングを選ぶ
家族会議は「日常の延長」で行うと失敗しやすいです。
おすすめは次のような場面です。
• お盆・お彼岸・法事の後
• 帰省時
• 家族が落ち着いている休日
• 病気や介護の話題が出たとき
“供養”や“老後”に意識が向いている時期が最も話しやすいです。
3. 実際に話し始めるときの進め方(会話の流れ)
家族に切り出すときは、次の順番が最もスムーズです。
①「現状の困りごと」を共有する
例: 「最近、お墓が遠くて行くのが大変になってきたんだ」 「管理費も毎年かかるし、将来どうしようかと思っていてね」
→ まず“問題提起”から入ると、相手が受け止めやすい。
②「自分の気持ち」を伝える
例: 「無理のない形で供養を続けたいと思っている」 「みんなに負担をかけたくない」
→ ここで“墓じまい=前向きな選択”であることを示す。
③「選択肢がある」ことを伝える
例: 「永代供養墓や樹木葬など、後継ぎがいなくても安心な方法があるみたい」
→ 不安を減らし、話し合いの土台を作る。
④「一緒に考えてほしい」とお願いする
例: 「急がないけど、みんなの意見も聞きたい」 「どう思う?」
→ 決定を押し付けず、協力を求める形がベスト。
4. 話し始めるまでの“平均的な時間感覚”
実務経験や相談データから見ると、次のような傾向があります。
段階 かかる期間の目安
墓じまいを考え始める 0ヶ月
自分の中で整理する 1〜3ヶ月
情報収集(供養先・費用など) 1〜2ヶ月
家族に話す 2〜6ヶ月
家族会議で合意形成 1〜3ヶ月
合計:4〜12ヶ月程度が一般的
もちろん家庭によって差はありますが、 「半年〜1年かけてゆっくり進める」 というのが現実的なペースです。
5. 価値観を調整にようする時間は
墓じまいは“手続きの問題”ではなく、 家族の価値観を調整するプロセスです。
そのため、
• 焦らせない
• 否定しない
• 選択肢を提示する
• 情報を整理してあげる
この4つが、話し始める前の段階で非常に重要になります。
行政書士ができる墓じまいとは
墓じまいは「行政手続き+宗教的配慮+家族調整」が絡むため、第三者の専門家である行政書士に依頼する注意点とは。
① 行政書士ができる業務と“できない業務”の線引き
行政書士が扱えるのは 書類作成と手続き代行 です。
● できる業務
• 改葬許可申請書の作成
• 役所への提出代行
• 受入証明書の取得サポート
• 墓地管理者との書類調整
• 家族への説明資料の作成
• 墓じまい全体の段取りサポート
● できない業務
• 寺院との金銭交渉(離檀料の交渉など)
• 墓石撤去工事の手配(紹介は可能)
• 宗教儀式(閉眼供養など)
• 遺骨の運搬(法律上、家族が行うのが原則)
→ 注意点 「離檀料の交渉」はトラブルになりやすいのでご家族が中心におすすめください。
② 寺院・霊園との関係性に配慮する
墓じまいは寺院側の感情が動きやすい領域です。
「外部の専門家を入れて対立姿勢なのか」 と受け取られることがあります。
● 注意点
• 寺院には“敵対的に見えない”伝え方をする
• 住職の立場を尊重する
• 書類の説明は丁寧に
• 家族を主体にし、行政書士は裏方に回る
③ 親族間の合意形成が不十分なまま依頼を受けない
墓じまいで最も多いトラブルは 「親族の反対」 です。
● 受任前に確認すべきこと
• 親族の主要メンバーは賛成しているか
• 誰が費用を負担するか
• 寺院との関係はどうか
• 供養先は決まっているか
④ 新しい供養先が決まっていないと手続きが進まない
改葬許可申請には 受入証明書(新しい納骨先の証明) が必須です。
供養先が決まっていなければ書類が作れません。
⑤ 遺骨の状態に関する説明責任
土中埋葬の場合、遺骨が土に還っていることがあります。
「遺骨が完全に残っていない可能性」 を事前に説明しておかないと、後でクレームになることがあります。
⑥ 費用の見積もりを“総額”で示す
墓じまいは複数の費用が発生します。
●行政書士の報酬
• 墓石撤去費用
• 離檀料
• 永代供養費
• 交通費
• 役所手数料
「総額イメージ」でお示しします。
行政書士の請求費用(相場)
行政書士の報酬は地域差がありますが、全国的な相場は次の通りです。
改葬手続きの報酬相場
業務内容 相場(税別)
改葬許可申請書の作成 20,000〜40,000円
役所への提出代行 10,000〜20,000円
受入証明書の取得サポート 10,000〜20,000円
墓地管理者との書類調整 10,000〜30,000円
家族会議用資料の作成 10,000〜30,000円
トータルサポート(セット) 50,000〜120,000円
追加費用として発生しやすいもの
内容 相場
出張費(遠方) 5,000〜20,000円
書類の郵送・取得実費 数百〜数千円
複数遺骨の改葬 1体追加ごとに5,000〜10,000円
ご家族に発生するその他の諸費用(参考)
必要な費用は次の通りです。
項目 相場
墓石撤去費用 10〜30万円
閉眼供養のお布施 3〜5万円
離檀料 3〜30万円
新しい供養先の費用 5〜100万円
行政書士の報酬は全体の中では比較的少額です。「段取りの設計」「書類の正確性」「家族調整のサポート」 という面で価値が大きいです。
行政書士が墓じまいを扱う際のポイント
• 家族の合意形成を最優先にする
• 寺院との関係を壊さない
• 書類の不備をゼロにする
• 全体の流れを“見える化”する
• 感情面のケアを忘れない
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