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成年後見制度が変わります
成年後見制度は、現在進められている民法改正により「終了できる制度」へと大きく変わる方向で検討が進んでいます。特に“終身が原則”だった法定後見を、有期・更新制にし、必要がなくなれば終了できる仕組みが導入される見通しです。 (以下、最新の審議内容に基づき詳しくまとめます)
1. 成年後見制度(法定後見)は「終了できる制度」へ変わるのか?
結論:はい、終了できるようにする方向で法制審議会が要綱案をまとめています。
現行制度の問題点
• 一度開始すると原則終身
• 判断能力が回復しない限り終了できない
• 認知症などでは回復がほぼ見込めず、「死ぬまで続く制度」になりがち
• 財産管理や契約の自由が大きく制限される
• 専門職後見人の場合、報酬が長期間発生し続ける
改正案の方向性
• 後見を有期(期間制)にし、更新制にする
• 本人の状況に応じて、必要な期間だけ利用できるようにする
• 状況が変われば、途中終了も可能にする
• 家庭裁判所が定期的に見直しを行う仕組みへ
2. 任意後見制度はどう変わるのか?
任意後見制度も、今回の見直しの対象に含まれています。
現行の任意後見制度の課題
• 契約しても、実際に発動するまで時間がかかる
• 任意後見監督人の選任が必須で、手続きが煩雑
• 利用が伸び悩んでいる
改正案の方向性
法務省の中間試案では、任意後見制度について以下の改善が検討されています:
発動の柔軟化
• 本人の判断能力が低下した際、よりスムーズに開始できる仕組みへ
任意後見監督人制度の見直し
• 必要性や負担を見直し、利用しやすい制度にする方向
法定後見との連携強化
• 必要に応じて、任意後見から法定後見へ移行しやすくする
• 本人の意思をより尊重する制度設計へ
3. 法定後見の三類型(後見・保佐・補助)はどうなる?
中間試案では、後見・保佐・補助の三類型を廃止し、補助に一元化する案が示されています。
目的
• 制度をわかりやすくする
• 本人の能力に応じて柔軟に支援内容を調整できるようにする
4. いつから変わるのか?
• 法制審議会は2025年(令和7年)6月に中間試案を公表
• 2025年8月までパブリックコメント実施
• その後、要綱案 → 法案化 → 国会提出へ
• 施行は2026〜2027年頃になる可能性が高い(推定)
5. まとめ
項目 現行制度 改正後の方向性
法定後見の期間 原則終身 有期・更新制、終了可能に
類型 後見・保佐・補助の3つ 補助に一元化案
任意後見 手続きが重い 発動の柔軟化、監督制度の見直し
本人の意思尊重 制度的に弱い 意思決定支援を重視
成年後見(法定後見)を「終了させる申立て」は、後見人だけでなく、家族(親族)も行うことができます。 さらに、本人自身や市町村長など、複数の人に申立権があります。
制度改正後も、この「申立てができる人の範囲」は大きく変わらない見込みです。
成年後見を終了させる申立てができる人
家庭裁判所に「後見終了(後見開始審判の取消し)」を申し立てられるのは、次の人たちです:
本人
配偶者
4親等内の親族(子・兄弟姉妹・孫・甥姪など)
成年後見人
成年後見監督人
任意後見人・任意後見受任者
市町村長
検察官
(※現行制度の申立権者。法制審議会の資料でも、この範囲を維持する方向です)
つまり、家族も後見人も、どちらも申立て可能です。
どんなときに「終了の申立て」ができるのか?
① 本人の判断能力が回復した
→ 家庭裁判所に「後見開始審判の取消し」を申立てる → 認知症などで回復が難しい場合は現実的には少ない
② 制度改正後:有期後見の期間満了
→ 新制度では「期間制・更新制」が導入される方向 → 期間が終われば終了、更新しない選択も可能
③ 本人の状況が変わり、後見が不要になった
→ たとえば財産管理の必要性がなくなった場合など → 家族が申立てるケースも多い
実務的には「誰が申立てることが多いか?」
✔ 家族が申立てるケース
• 本人の状態が改善した
• 後見を続ける必要がなくなった
• 専門職後見人の報酬負担を減らしたい
• 本人が施設入所し、財産管理が単純化した
後見人が申立てるケース
• 本人の判断能力が回復した
• 後見を続ける必要がなくなった
• 本人の死亡(※この場合は申立て不要で当然終了)
制度改正後はどう変わるのか?
法制審議会の中間試案では:
• 後見は有期(期間制)にする
• 更新制にする
• 必要がなくなれば終了できる制度にする
とされています。
これにより、 「終了の申立て」が今よりも現実的で使いやすい制度になる と考えられます。
まとめ
質問 回答
終了の申立ては誰ができる? 後見人も家族(親族)も可能
本人自身も申立てできる? できる
市町村長や検察官も? できる
制度改正後は? 有期制・更新制になり、終了がしやすくなる方向
年内に任意後見契約書の作成する場合の
注意点は
年内(=制度改正前)に任意後見契約を作成する場合は、「現行制度で作ることのメリット」と「改正後に影響を受ける可能性」の両方を理解しておくことがとても大切です。 ここを押さえておくと、後で「作り直せばよかった…」という後悔を避けられます。
年内に任意後見契約を作る際の重要な注意点
① 制度改正の内容を踏まえた“将来対応型”の契約にする
2025〜2026年にかけて成年後見制度が大きく見直される予定です。 任意後見制度も「発動の柔軟化」「監督人制度の見直し」などが検討されています。
そのため、契約書は以下を意識して作る必要があります。
• 本人の意思を細かく書く(生活・医療・財産の方針)
• 将来の制度変更にも対応しやすい柔軟な条項にする
• 任意後見だけでなく、財産管理契約や家族信託と併用できる設計にしておく
公証役場のひな形だけで作ると、将来の制度に合わず不十分になる可能性があります。
② 「いつ発動するか」を明確にしておく
任意後見は、
• 契約しただけでは発動しない
• 家庭裁判所が監督人を選任して初めて効力が出る
という仕組みです。
そのため、契約書には以下を明確にしておくと後のトラブルを防げます。
• どの程度の判断能力低下で発動を希望するか
• 誰が家庭裁判所に申立てをするか
• 医師の診断書の扱い
これが曖昧だと、家族間で「まだ発動させるべきではない」「もう発動させたい」と揉めることがあります。
③ 任意後見人に選ぶ人の負担を具体的に想定する
任意後見人は、
• 財産管理
• 契約手続き
• 施設入所の判断
• 医療同意の補助 など、実務はかなり重いです。
契約書を作る前に、以下を確認しておくと安心です。
• 後見人候補者が本当に引き受けられるか
• 遠方に住んでいないか
• 財産の内容(不動産・預金・株式など)
• 家族間の関係性
負担が大きい場合は、 任意後見+専門職監督人 という形にすることもあります。
④ 任意後見監督人の費用を理解しておく
任意後見が発動すると、家庭裁判所が監督人を選任します。 監督人の費用は月1〜3万円程度が一般的です。
契約前に、
• 誰が費用を負担するか
• 財産で賄えるか
• 長期化した場合の見通し
を確認しておくことが重要です。
⑤ 任意後見だけで“相続対策”はできない
任意後見は、
• 生前の財産管理
• 身上監護
が中心で、 相続対策(贈与・不動産売却・遺産分割の調整など)はできません。
相続対策が必要な場合は、
• 家族信託
• 遺言
• 財産管理契約 などを併用する必要があります。
⑥ 既存の契約を将来見直す可能性があることを理解しておく
制度改正後、
• 任意後見監督人制度の変更
• 発動要件の緩和
• 本人意思の尊重の強化
などが行われると、契約内容を見直した方がよいケースも出てきます。
年内に作る場合は、 「将来の見直しを前提にした契約」 にしておくと安心です。
まとめ:年内に作るなら、特に大事なポイント
• 制度改正を見据えた柔軟な契約にする
• 発動条件を明確にする
• 後見人候補者の負担を具体的に想定する
• 監督人費用を理解しておく
• 相続対策は別の制度と併用する
• 将来の見直しを前提にしておく
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