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原因と対処法
親族が亡くなった後、相続人の一人が遺産の分配を進めてくれない、あるいは自分の取り分が振り込まれないというトラブルは少なくありません。この記事では、そうした状況の原因や確認方法、具体的な対処法について解説します。
1. 遺産が振り込まれない主な原因
1-1. 遺産分割が成立していない
相続人が複数いる場合、遺産を分けるには「遺産分割協議」が必要です。これが成立していないと、金融機関は預貯金の払戻しに応じません。つまり、分割が決まっていない状態では、誰にもお金が振り込まれないのです。
1-2. 代表相続人や遺言執行者が手続きを進めていない
代表相続人や遺言執行者が選ばれている場合、その人が手続きを進めないと遺産の分配が滞ります。多忙や知識不足、あるいは意図的な遅延が原因となることもあります。
1-3. 金融機関の審査中
手続きが完了していても、金融機関側で書類の確認や審査が行われるため、振込までに1週間~1カ月ほどかかることがあります。不備があるとさらに時間が延びることも。
1-4. 他の相続人による使い込み
相続人の一人が、被相続人の生前や死亡直後に無断で預金を引き出していた場合、遺産が減ってしまい、他の相続人に分配できないことがあります。取引履歴を確認することで不正を見つけられる可能性があります。
1-5. その他の事情
相続人が多い、海外在住者がいるなど、手続きが複雑になる要因もあります。
2. 遺産の種類別の手続きと期間
2-1. 預貯金
金融機関に連絡して口座を凍結し、必要書類を提出して払戻しを申請します。振込までに1週間~1カ月程度かかります。
2-2. 有価証券
証券会社に連絡し、相続人名義の口座を開設するなどの手続きが必要です。
2-3. 生命保険金
受取人が指定されていれば、遺産分割を経ずに直接受け取れます。支払いは書類提出後5営業日程度が目安です。
2-4. 不動産・自動車
名義変更が必要で、不動産は法務局、自動車は運輸支局で手続きを行います。売却予定でも一度名義変更が必要です。
補足:法定相続情報証明制度
戸籍謄本の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を使うことで、手続きの負担を軽減できます。無料で複数枚発行可能です。
3. 遺産が振り込まれないときの対処法
3-1. 状況確認
まずは代表相続人や金融機関に連絡し、手続きの進行状況を確認しましょう。原因によって対応が異なるため、冷静に状況を把握することが大切です。
3-2. 遺産分割協議がまとまらない場合
協議が不成立の場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停が成立すれば「調停調書」が作成され、それに基づいて払戻しが可能です。調停が不成立の場合は「審判」に移行し、裁判所が分割内容を決定します。
3-3. 使い込みが疑われる場合
使い込みが疑われる場合は、内容証明郵便で返還を求める通知を出し、話し合いを行います。応じない場合は訴訟や仮差押えなどの法的手段を検討します。
4.よくある質問
Q. 他の相続人が遺産を使い込んでいたら? → 返還を求め、応じない場合は訴訟も検討。民法第906条の2により、使い込まれた遺産も分割対象とみなされることがあります。
Q. 相続税の申告期限が来たら? → 遺産が振り込まれていなくても、10カ月以内に申告が必要。遺産分割が未成立なら法定相続分で申告し、延納や物納も検討可能です。
Q. 親族との関係が悪化しそうで心配 → まずは冷静に事情を確認し、感情的な対立を避けましょう。
6. まとめ
遺産が振り込まれない原因は多岐にわたり、対応もケースによって異なります。まずは関係者に確認し、必要に応じて調停や法的手続きを検討しましょう。
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