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認知症の対策で任意後見契約と家族信託または成年後見制度どれがいいでしょうか
認知症に備えるための法的な手段として、「任意後見契約」「家族信託」「成年後見制度」はそれぞれ特徴があります。目的や状況に応じて選ぶのがポイントなのですが、比較してみましょう。
任意後見契約
• 特徴:本人が元気なうちに、将来判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人(後見人)を自分で選んで契約する制度。
• メリット:自分の意思で後見人を選べる。柔軟な内容にできる。
• デメリット:実際に発動するには、家庭裁判所の審判が必要。発動までに時間がかかることも。
家族信託(民事信託)
• 特徴:財産の管理・運用・処分を信頼できる家族などに託す契約。柔軟な設計が可能。
• メリット:裁判所の関与がなく、自由度が高い。相続対策にも有効。
• デメリット:設計が複雑で、専門家のサポートが必要。信託財産以外のこと(医療や介護の意思決定など)はカバーできない。
成年後見制度(法定後見)
• 特徴:すでに判断能力が低下している人のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度。
• メリット:すぐに支援が必要な場合に対応できる。法的な保護が強い。
• デメリット:本人の意思が反映されにくい。家庭裁判所の監督が続くため、手続きや報告が煩雑。
元気なうちに備えるなら「任意後見契約」や「家族信託」がいい。特に財産管理を柔軟にしたいなら家族信託、生活全般の支援も考えるなら任意後見が向いているといわれています。
参考例:財産は不動産、都内のマンション 株は評価額1億、預貯金1億円。 家族は、再婚した妻がいます。子はいません。り離婚した前婚の妻との間に亡くなった長女とその子ども(30年以上会ってない)がいます。長女の前婚の夫は長女と別れる時に調停で財産分与はしています。 また、前婚の妻の長男は行方不明です。 現在の妻にできればすべてを遺したい。
家族信託:財産管理と承継の自由度が高い
• おすすめ理由:不動産や株式、預貯金などを信託財産として、信頼できる人(たとえば現在の妻)を受託者にしておけば、あなたの判断能力が低下した後もスムーズに財産管理ができます。
• さらに重要なのは、信託契約で「最終的に誰に財産を渡すか(受益者の指定)」を決められる点。これにより、現在の妻に優先的に財産を承継させる設計が可能です。
• 注意点:信託財産にしないもの(たとえば信託契約に含めなかった預金など)は、通常の相続の対象になるので、全体のバランスを考える必要があります。
任意後見契約:判断能力低下後の生活支援
• おすすめ理由:判断能力が低下したときに、信頼できる人(たとえば現在の妻)に生活や医療、介護などの意思決定を任せることができます。
• 家族信託と併用することで、財産管理と生活支援の両方をカバーできます。
遺言書の作成:法定相続を超える意思表示
• 必須です! 現在の妻に多く遺したい場合、遺言書の作成は絶対に必要です。
• 法定相続では、前婚の亡くなった長女の子(お孫さん)や行方不明の長男にも相続権があります。遺言がなければ、現在の妻がすべてを相続することはできません。
• 公正証書遺言で「遺留分」にも配慮しつつ、できる限り現在の妻に財産を遺すように設計するのが現実的です。
まとめ:おすすめプラン
1. 家族信託で不動産・株・預貯金の管理と承継先を設計(現在の妻を受益者に)
2. 任意後見契約で判断能力低下後の生活支援を準備
3. 公正証書遺言で現在の妻に財産を遺す意思を明確にする
4. 必要に応じて遺留分対策(生命保険の活用や、遺留分放棄の検討)
質問:どんな家族信託にすればいいか?
金融機関にも協力してもらう必要があると思うが?
遺言書は長男の孫と長女の遺留分以外はすべて妻にと書けば遺言執行者が手続きをできると思う。
しかし、行方不明の長男に財産管理人を選ぶのは被相続人が亡くなってからだと思うが、遺言執行者を公正証書遺言で財産管理人にできないか知りたい。
どんな家族信託にすればいいか
信託の目的
• 認知症対策(判断能力低下後の財産管理)
• 相続対策(現在の妻に財産を承継させる)
信託財産の対象
• 都内のマンション:名義変更が必要。信託登記が必要になるので、司法書士の関与が必須。
• 株式:上場株なら証券会社との調整が必要。非上場株なら会社の定款確認も。
• 預貯金:信託口口座の開設が必要。金融機関によって対応が異なるため、事前に協力可能な金融機関を選定するのが重要。
信託の登場人物
• 委託者:あなた
• 受託者:信頼できる人(現在の妻が適任だが、信託の内容によっては第三者や専門家を補助者にすることもできる)
• 受益者:あなた(生前)、その後は現在の妻
• 第二受益者:妻が亡くなった後の承継先(たとえば、特定の団体や信頼できる親族など)
遺言書と遺言執行者の役割
遺言書の内容
• 「長男の孫と長女の遺留分以外はすべて妻に相続させる」と明記するのは可能。
• 遺留分は、長男の孫(代襲相続人)と長女にそれぞれ法定相続分の1/2が認められるので、完全に排除することはできません(ただし、遺留分放棄の手続きを事前に家庭裁判所で行えば可能)。
遺言執行者の権限
• 遺言執行者は、遺言の内容を実現するための手続きを行う人です。
• ただし、行方不明の相続人(長女)の財産管理人を兼ねることはできません。これは法律上、別の手続きが必要です。
行方不明の長男への対応
• 相続人が行方不明の場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる必要があります。
• この申し立ては、相続開始後(被相続人の死亡後)にしかできません。
• 遺言執行者がそのまま財産管理人になることはできませんが、同一人物を家庭裁判所に推薦することは可能です。
ミカのおすすめ戦略
1. 家族信託で不動産・株・預貯金を信託化し、現在の妻を受益者に設定
2. 公正証書遺言で、遺言執行者を現在の妻または信頼できる第三者に指定
3. 遺言書に「行方不明の長男については、遺言執行者が不在者財産管理人の選任を申し立てる」旨を記載(法的拘束力はないが、意思表示として有効)
4. 必要に応じて、遺留分対策(生前贈与や信託設計)を組み込む
この設計には、信託と相続に強い司法書士・弁護士・税理士のチームでの対応が理想的です。金融機関との調整も含めて、早めに動くと安心です。
信託契約の構成と遺言の文例
家族信託契約の構成案と遺言書の文例(公正証書遺言向け)をまとめてみます。
家族信託契約の構成(例)
1. 契約当事者
• 委託者:あなた(財産を託す人)
• 受託者:現在の妻(財産を管理する人)
• 受益者:
o 第一次:あなた(生存中の利益を受ける)
o 第二次:現在の妻(あなたの死後に利益を受ける)
o 第三次:妻の死後に財産を承継する人(例:信頼できる親族や団体)
2. 信託財産の内容
• 都内のマンション(不動産登記が必要)
• 株式(証券会社との調整が必要)
• 預貯金(信託口口座の開設が必要)
3. 信託の目的
• あなたの判断能力が低下した場合の財産管理
• あなたの死後、現在の妻が安心して生活できるようにする
• 相続トラブルの予防
4. 信託の終了時期と残余財産の帰属先
• 現在の妻の死亡時に信託終了
• 残余財産は、指定した第三者へ帰属(例:信頼できる親族、団体など)
5. 信託監督人(任意)
• 受託者の行為を監督する人。信頼できる第三者や専門家を指定してもよい
公正証書遺言の文例(例)
遺言者 ○○○○(昭和○年○月○日生)は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産のうち、法定相続人の遺留分を除いた残余の全財産を、妻 ○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、遺言の執行者として、妻 ○○○○(昭和○年○月○日生)を指定する。
第3条 遺言者は、相続人 ○○○○(長男)が行方不明であることから、遺言執行者が家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てることを希望する。
第4条 本遺言の作成にあたり、遺言者は公証人の面前で本遺言の内容を確認し、これが自己の真意に基づくものであることを確認した。
令和○年○月○日
遺言者 ○○○○(署名・押印)
ひとことアドバイス
この構成と文例はあくまで「たたき台」です、専門家と一緒に最終調整するのが絶対に必要です。特に信託契約は、税務や不動産登記、証券の扱いなどが絡むから、司法書士・弁護士・税理士の連携がカギになります。
家族信託を選べば任意後見契約はいらないか? それとも認知症になった場合の財産管理人として今の妻と契約しておく必要があるか?
家族信託と任意後見契約は、どちらも「将来の備え」ですが、カバーする範囲が違うから、家族信託を選んでも、任意後見契約が不要になるとは限らない。
家族信託と任意後見の違いと補完関係
項目 家族信託 任意後見契約
主な目的 財産の管理・承継 本人の生活・療養・介護などの支援
開始時期 契約締結後すぐに効力発生 本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が後見監督人を選任したとき
対象範囲 信託財産に限る(例:信託した不動産・預金など) 本人の全財産・生活全般に関する法律行為
裁判所の関与 なし あり(発動時に審判が必要)
柔軟性 高い(契約内容で自由に設計可能) 制限あり(法律に基づく)
おすすめは:両方使うと最強!
• 財産が多岐にわたる(不動産・株・預金)
• 現在の妻に信頼を置いている
• 将来の認知症リスクも考えている
というケースでは、家族信託+任意後見契約の併用が効果的です。
具体的には:
1. 家族信託で、財産の管理・承継を設計(不動産・株・預金など)
2. 任意後見契約で、信託財産以外のこと(介護施設の契約、医療同意、年金手続きなど)をカバー
3. 遺言書で、相続の意思を明確にする
まとめると…
家族信託は「財産の道具箱」、 任意後見は「生活のサポート役」。
どちらも役割が違うから、両方を組み合わせることで、あなたと現在の妻の安心は高まります。
遺言書案
遺言者 ○○○○(昭和○年○月○日生)は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産のうち、法定相続人の遺留分を除いた残余の全財産を、妻 ○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、遺言の執行者として、妻 ○○○○(昭和○年○月○日生)を指定する。
第3条 遺言者は、相続人 ○○○○(長女)が行方不明であることから、遺言執行者が家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てることを希望する。
第4条 本遺言の作成にあたり、遺言者は公証人の面前で本遺言の内容を確認し、これが自己の真意に基づくものであることを確認した。
令和○年○月○日 遺言者 ○○○○(署名・押印)
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