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おひとりさまの終活を
助ける「5つの契約」とは?
おひとりさまの終活でよく取り上げられる「5つの契約」は、身寄りがいない・家族に負担をかけたくない方が、自分の意思を確実に実現するための仕組みとして非常に重要です。 専門家として活動されている水田さんにはおなじみの内容かもしれませんが、参加者向けに説明する際にも使いやすい整理でまとめてみました。
おひとりさまの終活を支える「5つの契約」
1. 任意後見契約(将来の判断能力低下に備える)
• 認知症などで判断能力が低下したときに備える契約
• 信頼できる人(後見人)に、財産管理・生活支援・介護契約などの代理権を与える
• 公正証書で作成し、発動は家庭裁判所の審判後
• 「判断能力があるうちに決めておく」ことが最大のポイント
2. 見守り契約(元気なうちの生活サポート)
• 任意後見契約の“前段階”として利用されることが多い
• 定期的な訪問・電話・安否確認などを行ってもらう契約
• ひとり暮らしの不安を軽減し、早期に異変を察知できる仕組み
3. 財産管理契約(判断能力があるうちの事務代行)
• 判断能力はあるが、手続きや管理が難しくなってきた時期に役立つ
• 銀行手続き、支払い、役所手続きなどを代理してもらえる
• 任意後見と併用することで、元気な時期から亡くなるまでの支援を一気通貫で確保できる
4. 医療・介護に関する事前指示(ACP/リビングウィル)
• 延命治療の希望、介護方針、入院先の希望などを事前に文書化
• 医療機関やケアマネに意思を伝えやすくなる
• 法的拘束力は弱いが、本人の意思を尊重するための重要な資料
5. 死後事務委任契約(亡くなった後の手続きを任せる)
• おひとりさまにとって最重要ともいえる契約
• 葬儀・納骨・役所手続き・遺品整理・家の明け渡しなど、死後の事務を委任
• 法律上、家族でなくても委任できるため、実務で非常に使いやすい
まとめ表(セミナー資料にも使いやすい形)
契約 目的 いつ必要になるか 主な内容
任意後見契約 判断能力低下に備える 認知症などで判断能力がなくなった後 財産管理・介護契約などの代理
見守り契約 安否確認・生活サポート 元気なうち 定期訪問・連絡・異変の早期発見
財産管理契約 事務手続きの代行 判断能力はあるが手続きが困難な時期 支払い・銀行・役所手続き
事前指示(ACP) 医療・介護の意思表示 いつでも 延命治療・介護方針の明確化
死後事務委任契約 死後の手続きの代行 死後 葬儀・納骨・役所手続き・遺品整理
あ任意後見契約の改正がありますが、今から契約する人の注意点はありますか
2024年の民法・任意後見制度の改正を踏まえると、これから任意後見契約を結ぶ人が特に注意すべき点はいくつかあります。 セミナーでの説明にも使いやすいよう、整理してお伝えします。
任意後見契約の改正を踏まえた「これから契約する人の注意点」
1. “開始のタイミング”がより厳密に判断される
• 改正後は、任意後見を開始する際の「判断能力の低下」の基準がより明確化される方向
• 家庭裁判所が開始を慎重に判断するため、 「早めに契約しておけば安心」という誤解は避ける必要がある
• 実務では、見守り契約・財産管理契約とのセットがより重要になる
2. 後見人の監督体制が強化される
• 任意後見監督人の選任基準や監督のあり方が見直され、 後見人の不正防止・透明性の確保が強化される方向
• そのため、契約時に 「誰を後見人に選ぶか」だけでなく「監督人が入ることを前提にした運用」を理解しておく必要がある
3. 契約内容の“具体性”がより求められる
• 改正後は、後見人の権限や本人の意思をより明確にしておくことが重要
• 特に以下の点は曖昧にしない方がよい
o 財産管理の範囲
o 医療・介護に関する意思
o 施設入所や住まいの選択
o 金銭の使い方の優先順位
• 「包括的に任せる」ではなく、具体的な希望を文書化することが必須に近づく
4. “契約して終わり”ではなく、運用の継続性が重視される
• 改正の方向性として、任意後見は「契約」よりも「運用」の質が問われる
• そのため、契約後に
o 定期的な見直し
o 後見予定人とのコミュニケーション
o 見守り契約・財産管理契約との連携 が重要になる
• セミナーでは「任意後見はスタート地点」という説明がより響く時代になる
5. 死後事務との連携がより重要になる
• 任意後見は“生前の支援”に限られるため、 改正後も「死後のことは別契約」が原則
• おひとりさまの場合、 任意後見+死後事務委任契約+遺言 の3点セットの必要性がさらに高まる
まとめ(セミナーで使える要点)
注意点 なぜ重要か 参加者への伝え方の例
開始のタイミングが慎重に 判断能力の基準が明確化 「早めの契約=早めの開始」ではない
監督体制の強化 不正防止・透明性向上 「後見人+監督人の二重チェック」
契約内容の具体化 本人意思の尊重が重視 「包括的ではなく、具体的に書く」
運用の継続性 契約後のフォローが必須 「契約はゴールではなくスタート」
死後事務との連携 任意後見は死後に効力なし 「生前と死後の契約をセットで考える」
「監督人が入ることを前提にした運用上の注意点は何でしょう」
任意後見制度の改正により、監督人が入ることを前提にした運用がこれまで以上に重要になります。 専門家として参加者に説明する際にも使いやすいよう、実務的・現場的な注意点を整理してお伝えします。
任意後見契約で「監督人が入ることを前提」にすべき運用上の注意点
1. 後見人の行動は“監督人に見られる前提”で透明化する
監督人は、
• 財産管理の妥当性
• 本人の意思の尊重
• 不正防止 をチェックします。
そのため、後見人には以下が求められます。
• 支出の根拠を残す(領収書・メモ・記録)
• 本人の意思確認のプロセスを記録する
• 大きな支出・契約は監督人に事前相談する
• 家族的な“善意の肩代わり”をしない(後で問題化しやすい)
→ セミナーでは「監督人に説明できる運用を心がける」と伝えると理解されやすいです。
2. 後見人に選ぶ人は“監督人と協働できる人”であることが必須
監督人は後見人の“上司”ではありませんが、 後見人の行動をチェックし、必要に応じて指導する立場です。
そのため、後見人候補には次の資質が必要です。
• 指摘を素直に受け止められる
• 書類・記録をきちんと残せる
• 金銭管理にルーズでない
• 監督人とのコミュニケーションを嫌がらない
→ 「信頼できる人」だけでは不十分で、“実務に耐えられる人”であることが重要になります。
3. 契約内容は“監督人が判断しやすい具体性”で書く
監督人は契約書を基準に後見人の行動をチェックします。 曖昧な契約は、後見人・監督人双方に負担をかけます。
特に具体化すべき項目は以下です。
• 財産管理の範囲(どこまで任せるか)
• 生活費の使い方(優先順位・上限)
• 医療・介護の希望(延命、施設入所の基準など)
• 本人の価値観(何を大切にしたいか)
→ 「監督人が読んで迷わない契約書」が理想です。
4. 後見開始後の“定期的な報告”を前提に準備しておく
監督人は後見人からの報告を受けて職務を行います。
そのため、後見人は
• 月次・年次の収支報告
• 本人の生活状況の報告
• 大きな支出の理由 を整理して提出する必要があります。
→ 契約時に「報告の負担」を後見人候補に説明しておくことが重要です。
5. 後見人と監督人の“役割分担”を理解しておく
誤解されやすいポイントですが、
• 後見人:実務を行う人
• 監督人:後見人をチェックする人 です。
監督人は本人の生活支援を直接行うわけではありません。 そのため、本人・後見人・監督人の三者で役割を明確にしておく必要があります。
6. 費用負担(監督人報酬)を契約時に理解しておく
監督人が入ると、
• 任意後見監督人の報酬(通常月1〜2万円程度)が発生します。
本人の財産から支払われるため、 契約時に費用の見通しを説明しておくことがトラブル防止につながります。
まとめ(セミナーで使える一言)
任意後見は「後見人が頑張る制度」ではなく、 「後見人+監督人の二重チェックで本人を守る制度」です。 だからこそ、契約時から“監督人が入る前提”で準備することが大切です。
任意後見契約を作成する行政書士が監督人に立候補できませんか
結論から言うと、任意後見契約を作成した行政書士が、その後「任意後見監督人」に就任することは基本的にできません。 これは改正前からの実務運用とも一致しており、改正後はさらに明確に「利益相反の排除」が重視される方向です。
行政書士は監督人になれないのか
1. 利益相反の可能性が高い
任意後見契約を作成した行政書士は、
• 本人
• 後見人候補 と密接な関係を持つことになります。
その行政書士が監督人になると、 「自分が作った契約の運用を自分で監督する」 という構図になり、利益相反が避けられません。
2. 監督人は“中立性”が最重要
任意後見監督人は、後見人の行動をチェックし、必要に応じて家庭裁判所に報告する立場です。
そのため、
• 本人
• 後見人
• 契約作成者 のいずれにも偏らない中立性が求められます。
契約作成者が監督人になると、 「監督の客観性が担保できない」 と判断されます。
3. 家庭裁判所の運用として“契約作成者は監督人にしない”が定着
家庭裁判所は、任意後見監督人に
• 弁護士
• 司法書士
• 社会福祉士 などの専門職を選任することが多いですが、 契約作成に関与した専門職は選任しない という運用が一般的です。
改正後はこの傾向がさらに強まると考えられます。
行政書士はどこまで関われるのか
行政書士が関われるのは主に以下の部分です。
● 任意後見契約の作成支援
(公正証書作成のサポート)
● 見守り契約・財産管理契約の受任
(任意後見開始前の支援)
● 死後事務委任契約の受任
(死後の手続き)
ただし、 任意後見が開始された後の「監督人」には就任できない という線引きが必要です。
セミナーでの説明に使える一言
「任意後見は“後見人+監督人”の二重チェックで成り立つ制度です。 契約を作った専門職が監督人になるとチェック機能が働かないため、家庭裁判所は選任しません。」
*注:ACPとリビングウィルを説明して
ACP とリビングウィルは似ているようで、目的・使われ方・法的位置づけが異なるため、混乱しやすいポイントです。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは
定義
将来の医療やケアについて、本人・家族・医療者が繰り返し話し合い、意思を共有するプロセスのこと。 厚生労働省が推進している考え方で、「人生会議」という愛称でも知られています。
特徴
• 話し合いのプロセスが中心
• 文書化は必須ではない(ただし残すと有効)
• 本人の価値観・生き方・望む医療を共有する
• 状況が変われば、内容も変えてよい
• 医療現場での意思決定を助ける
具体的に話し合う内容
• 延命治療を望むかどうか
• 苦痛緩和をどこまで優先するか
• 自宅・施設・病院など、どこで過ごしたいか
• 信頼できる代理意思決定者(キーパーソン)
• 本人が大切にしている価値観(例:自立、痛みの少ない生活、家で過ごす など)
実務でのポイント
• ACPは「一度書いたら終わり」ではなく、継続的な話し合い
• 医療者・ケアマネ・家族との共有が重要
• 文書化すると医療現場で扱いやすい
リビングウィルとは
定義
延命治療を望むかどうかなど、終末期医療に関する本人の意思を文書で示したもの。 日本尊厳死協会などが普及している。
特徴
• 文書(書面)による意思表示が中心
• 主に「終末期の延命治療」に関する意思を示す
• 法的拘束力はないが、医療現場で尊重される
• 内容は比較的シンプルで、治療方針に特化
書かれる内容の例
• 人工呼吸器を望むか
• 心肺蘇生を望むか
• 経管栄養を望むか
• 苦痛緩和を優先するか
• 尊厳ある最期を望む旨の表明
実務でのポイント
• 医療機関に提示すると治療方針の判断材料になる
• ACPよりも「終末期の医療」に特化している
• 家族や医療者に共有しておくことが重要
ACP とリビングウィルの違い(比較表)
項目 ACP リビングウィル
目的 将来の医療・ケア全般の話し合い 終末期医療の意思表示
形式 話し合いが中心(文書化は任意) 文書による意思表示
内容 価値観・生活・介護・医療など幅広い 延命治療の希望が中心
更新 状況に応じて何度でも見直す 書き直しは可能だが頻度は少ない
法的位置づけ 法的拘束力なし(医療現場で尊重) 法的拘束力なし(医療現場で尊重)
主体 本人・家族・医療者 本人
セミナーで使える一言まとめ
ACPは“話し合いのプロセス”、リビングウィルは“文書による意思表示”。 ACPの中にリビングウィルが含まれるイメージがわかりやすいです。
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