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エンディングノートの
メリットとデメリット
1. エンディングノートとは何か
エンディングノートは、自分の人生の終末期や死後に備えて、家族や周囲の人に伝えておきたい情報や希望を書き残すためのノートである。遺言書のような法的効力はないが、より自由に、自分の価値観や思いを整理し、家族に伝えるためのツールとして広く使われている。内容は多岐にわたり、医療・介護の希望、財産や契約情報、葬儀の希望、デジタル遺品の管理、家族へのメッセージなど、人生の総まとめのような役割を果たす。
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2. エンディングノートのメリット
2-1. 家族の負担を大幅に軽減できる
人が亡くなった後、家族は短期間で膨大な判断を迫られる。 葬儀の形式、規模、宗教、費用、連絡先、遺品整理、銀行口座の手続き、保険の請求、デジタルサービスの解約など、やるべきことは想像以上に多い。 エンディングノートがあると、家族は「故人が望んでいたこと」を基準に判断できるため、精神的負担が大きく減る。
特に、
• 葬儀の規模(家族葬か一般葬か)
• 連絡してほしい人・してほしくない人
• 墓や納骨の希望
• 遺品の扱い
• デジタル遺品のパスワード などは、家族が最も困りやすい部分であり、事前に書かれているだけで混乱が避けられる。
2-2. 自分の意思を明確に伝えられる
終末期医療に関する希望(延命治療を望むか、望まないか)は、家族が最も判断に迷う領域である。 本人の意思が分からないまま、家族が「本当にこれで良かったのか」と悩み続けるケースは多い。 エンディングノートに意思を書いておくことで、家族は迷わずに済み、本人の尊厳も守られる。
また、介護の希望(施設か在宅か)、財産の管理方法、ペットの世話など、細かな希望も伝えられるため、人生の最終段階を自分らしく過ごすための指針にもなる。
2-3. 自分の人生を振り返り、整理する機会になる
エンディングノートを書く過程は、単なる事務作業ではなく、自己理解のプロセスでもある。
• 自分が大切にしてきた価値観
• これからの人生でやりたいこと
• 感謝を伝えたい人
• 過去の後悔や未整理の感情 こうしたものを見つめ直すことで、残りの人生をより豊かに生きるきっかけになる。
実際、エンディングノートを書いた人の多くが「これからの人生の目標が明確になった」と語る。 死を意識することは、逆説的に「今をどう生きるか」を考える力を与えてくれる。
2-4. デジタル遺品のトラブルを防げる
現代では、SNS、ネット銀行、サブスク、クラウドストレージなど、デジタルサービスが生活の中心にある。 しかし、パスワードが分からないと家族は解約もデータ確認もできず、トラブルが起きやすい。 エンディングノートに
• 利用サービス
• ログイン方法
• データの扱い(削除してほしい、保存してほしい) を書いておくことで、家族の負担が大幅に減る。
2-5. 家族とのコミュニケーションのきっかけになる
エンディングノートは、家族と「もしもの時」について話し合うきっかけになる。 日本では死に関する話題を避けがちだが、話し合わないまま突然の事態が起きると、家族は深い後悔を抱えることがある。 ノートを通じて、家族が互いの価値観を理解し合うことで、より良い関係を築くことにもつながる。
3. エンディングノートのデメリット
3-1. 法的効力がない
エンディングノートは遺言書ではないため、財産分与や相続に関する内容を書いても、法的拘束力はない。 たとえば、
• 「長男に家を相続させたい」
• 「預金は妻に渡したい」 などと書いても、遺言書としての要件を満たしていなければ無効である。
そのため、財産に関する重要な内容は、エンディングノートではなく正式な遺言書で残す必要がある。
3-2. 書いた内容が更新されないまま放置されるリスク
人の状況は変わる。
• 家族構成
• 財産
• 連絡先
• 医療や介護の希望
• デジタルサービス これらは数年で大きく変わることがある。
エンディングノートを一度書いて満足してしまうと、古い情報が残り、かえって家族が混乱する可能性がある。 特にパスワードや契約情報は頻繁に更新されるため、定期的な見直しが必要になる。
3-3. 書くこと自体が心理的に重い
死や老いを意識することは、多くの人にとって負担が大きい。 「まだ早い」「縁起が悪い」と感じて書き進められない人も多い。 また、家族に見せることを前提に書くため、感情的な部分をどう表現するか悩むこともある。
心理的なハードルが高いことは、エンディングノートの普及を妨げる要因の一つでもある。
3-4. 保管場所や共有方法に注意が必要
エンディングノートは、書いても家族が見つけられなければ意味がない。 しかし、
• あまり目立つ場所に置くとプライバシーの問題
• 隠しすぎると家族が気づかない というジレンマがある。
また、デジタル版のエンディングノートを使う場合は、
• パスワード管理
• サービス終了のリスク
• データ消失 などの問題も考慮しなければならない。
3-5. 内容が誤解される可能性がある
エンディングノートは自由度が高い反面、書き方に明確なルールがない。 そのため、曖昧な表現や不完全な情報が残ると、家族が解釈に迷うことがある。 特に、医療や介護の希望は状況によって判断が変わるため、ノートの内容だけでは対応できないケースもある。
4. メリットとデメリットを踏まえた上での活用ポイント
4-1. エンディングノートと遺言書を併用する
財産や相続に関する重要事項は遺言書で、 気持ちや希望、生活情報はエンディングノートで、 というように役割を分けると、より確実で実用的になる。
4-2. 定期的に見直す
年に1回、誕生日や年末など、見直すタイミングを決めておくと良い。 特にデジタル情報は更新頻度が高いため、こまめな修正が必要。
4-3. 家族と共有する
「どこに置いてあるか」「どんな内容を書いているか」だけでも家族に伝えておくと、いざという時に役立つ。
4-4. 完璧を目指さない
エンディングノートは「書き始めること」が最も大切。 すべてを埋める必要はなく、書けるところから少しずつ進めれば良い。
5. まとめ
エンディングノートは、
• 家族の負担を減らし
• 自分の意思を伝え
• 人生を見つめ直す機会を与えてくれる 非常に有用なツールである。
一方で、
• 法的効力がない
• 更新が必要
• 心理的負担がある といったデメリットも存在する。
しかし、これらのデメリットは工夫次第で十分に補える。 エンディングノートは「死の準備」ではなく、「より良く生きるためのノート」と捉えると、前向きに取り組めるはずだ。
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