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遺言代用信託とは「遺言書を書かなくても、亡くなった直後に必要なお金を家族へ確実に渡せる“生前の契約型の仕組み”」です。 金融機関が説明すると一文で終わりますが、実際には「どんな仕組みなのか」「遺言と何が違うのか」「メリット・注意点」「どんな人に向いているのか」まで理解して初めて“使える制度”になります。
遺言代用信託とは
遺言代用信託は、「遺言の代わりになる信託」という名前のとおり、亡くなった後の財産の渡し方を、生前のうちに“信託契約”で決めておく制度です。 遺言書は「亡くなった後に読む書類」ですが、遺言代用信託は「亡くなる前に銀行と契約しておく仕組み」です。
仕組みのポイント
• 委託者(あなた)が銀行などにお金を預ける
• 生きている間はそのお金を自分のために使える
• 亡くなった瞬間に、銀行が自動的に指定した家族へお金を渡す
• 遺産分割協議や戸籍集めを待つ必要がない
• 葬儀費用・生活費など「すぐ必要なお金」を確実に届けられる
信託協会の説明では、 「葬儀費用など、すぐに必要なお金をスムーズに引き継げる」 とされています 。
なぜ“遺言書なし”で渡せるのか
遺言代用信託は、遺言ではなく“契約”だからです。
遺言は民法の方式に従って作成し、死後に効力が発生します。 一方、遺言代用信託は生前に銀行と契約し、契約の中に「亡くなったら誰にいくら渡すか」を書いておくため、死後は銀行がその契約どおりに支払います。
つまり、
「亡くなったら妻に200万円を振り込む」 「亡くなったら子どもに毎月10万円を送る」
などを契約で決めておけば、銀行はそのとおりに実行します。
遺言代用信託の登場人物
信託には必ず3つの役割があります。
• 委託者:財産を預ける人(あなた)
• 受託者:財産を管理する人(銀行)
• 受益者:財産を受け取る人(家族)
あなたが生きている間は「委託者=受益者」です。 亡くなった後は、家族が「第二受益者」として財産を受け取ります。
遺言代用信託のメリット
信託協会・税理士法人チェスター・司法書士解説を総合すると、メリットは大きく5つあります。
① 死亡後すぐにお金を渡せる
通常、亡くなった人の銀行口座は「凍結」されます。 相続人であっても、戸籍を集め、遺産分割協議を終えるまで引き出せません。
信託協会は次のように説明しています:
「葬儀費用など、すぐに必要なお金をスムーズに引き出せる」
遺言代用信託では、凍結されない“別枠のお金”として銀行が支払います。
② 支払い方法を自由に設計できる
税理士法人チェスターは、支払い方法を次の2種類と説明しています 。
• 一時金型:死亡時に一括で渡す
• 年金型:毎月・毎年など定期的に渡す
たとえば、
• 葬儀費用として200万円を一括
• 生活費として毎月10万円を5年間
• 障害のある子へ毎月一定額を継続
など、家族の状況に合わせて設計できます。
③ 認知症になっても財産管理が安全
遺言代用信託は「認知症発症時に発効する契約」も可能です。 税理士法人チェスターは、認知症発症時の財産管理にも使えると説明しています 。
認知症になると銀行取引ができなくなりますが、信託契約をしておけば銀行が管理し、必要な支払いを続けてくれます。
④ 生前の受け取りも可能
あなた自身が「第一受益者」として契約すれば、生前に年金のように受け取ることもできます。 病気のときの一時金なども設定できます。
⑤ 遺産分割協議が不要
信託財産は「遺産」ではなく、信託契約に従って動く財産です。 そのため、遺産分割協議の対象外となり、相続人同士の話し合いを待つ必要がありません。
遺言代用信託のデメリット
メリットが大きい一方、注意点もあります。
① 遺留分への配慮が必要
遺言代用信託は遺留分侵害額請求の対象になると説明されています 。
つまり、
特定の子どもだけに多額を渡す 配偶者に全額渡す 他の相続人に何も渡さない
などをすると、他の相続人から「遺留分を返してほしい」と請求される可能性があります。
② 手数料がかかる
信託協会は「手数料は銀行によって異なる」と説明しています 。
一般的には、
• 契約時の手数料
• 管理手数料
• 解約時の手数料
などがかかります。
③ 元本保証は銀行による
多くの銀行は「元本保証タイプ」を扱っていますが、銀行によって異なります。 信託協会は「1,000万円まで元本と利息が保証される」と説明しています 。
④ 相続税は安くならない
「遺言代用信託を使っても相続税は安くならない」
⑤ 不動産は原則使えない
遺言代用信託は主に「金銭」が対象です。 不動産を使う場合は別の信託設計が必要です。
遺言代用信託が向いている人
専門家の解説を総合すると、次のような人に向いています。
① 葬儀費用・生活費を家族にすぐ渡したい人
銀行口座が凍結されると、家族は葬儀費用を自腹で立て替えることになります。 遺言代用信託なら、死亡直後に銀行が支払うため安心です。
② 高齢の配偶者の生活が心配な人
信託協会は「配偶者の生活が心配な方が利用している」と説明しています 。
③ 障害のある子・未成年の子がいる家庭
毎月一定額を渡す「年金型」は、財産管理が難しい家族に向いています。
④ 認知症対策をしたい人
認知症発症時に発効する契約をしておけば、銀行が財産管理を続けてくれます。
⑤ 事業承継で自社株を確実に渡したい人
信託協会は「中小企業オーナーが自社株を後継者に円滑に承継できる」と説明しています 。
遺言代用信託と遺言の違い
税理士法人チェスターは、遺言・遺言信託・遺言代用信託の違いを次のように整理しています 。
項目 遺言 遺言代用信託
実行方法 死後に文書を読む 生前の契約で自動実行
検認 必要(公正証書除く) 不要
財産の対象 全財産 主に金銭
柔軟性 高い 非常に高い(年金型など)
遺産分割 必要 不要
遺言代用信託の手続き
信託協会の説明をもとにすると、流れは次のとおりです 。
1. 銀行と信託契約を結ぶ
2. 金銭を信託する(預ける)
3. 生前の受け取り方法を決める
4. 死亡後の受取人・受取額・受取方法を決める
5. 死亡後、銀行が受益者へ支払う
遺言代用信託の具体例
信託協会の例をもとにすると、次のような使い方ができます 。
例① 葬儀費用として200万円を妻へ
「私が亡くなったら、妻の口座に葬儀費用として200万円を振り込む」
銀行は死亡確認後、すぐに妻へ200万円を振り込みます。
例② 子どもへ毎月10万円を5年間
未成年の子どもや障害のある子の生活費として、毎月一定額を送ることができます。
例③ 認知症発症時に発効
認知症になったら銀行が財産管理を開始し、老人ホーム費用などを支払います。
例④ 自社株を後継者へ確実に渡す
事業承継のために、自社株を後継者へ確実に渡す設計も可能です。
遺言代用信託と生命保険の違い
• 生命保険は「死亡時に保険金を支払う」
• 遺言代用信託は「生前の財産を死後に渡す」
似ていますが、生命保険は“保険事故”が必要で、信託は“契約どおり”に支払われます。
遺言代用信託の注意点(総まとめ)
• 遺留分に配慮が必要(司法書士解説)
• 手数料は銀行によって異なる(信託協会)
• 元本保証は銀行による(信託協会)
• 相続税は安くならない(税理士法人チェスター)
• 不動産は原則対象外
• 家族の理解が必要
まとめ
遺言代用信託は、 「亡くなった直後に必要なお金を、確実に・迅速に・トラブルなく家族へ渡すための、生前契約型の仕組み」 です。
遺言よりも実行力が高く、認知症対策にも使え、年金型の支払いもできるため、近年利用が増えています。
ただし、遺留分や手数料などの注意点もあるため、遺言と併用するのが最も安全です。
遺言代用信託で「本人の死亡を金融機関へ届け出る」のは、通常“受取人(第二受益者)またはその家族”です。 そして、必要書類は「死亡の事実が確認できる書類」+「受取人の本人確認書類」が基本です。 以下、銀行の相続手続き情報をもとに、遺言代用信託に当てはめて整理します。
1. 死亡の届け出をするのは誰か
遺言代用信託は「委託者(本人)が亡くなったら、銀行が契約どおりに受取人へ支払う仕組み」です。 そのため、死亡の連絡は次のいずれかが行います。
● 受取人(第二受益者)
最も多いケース。 銀行は受取人からの連絡を受けて、死亡確認 → 支払い手続きへ進みます。
● 受取人の家族
受取人が高齢・障害などで連絡が難しい場合、家族が代わりに連絡します。
● 遺言執行者が指定されている場合は遺言執行者
遺言代用信託でも、遺言執行者が別途遺言で指定されている場合は、遺言執行者が連絡することがあります。 銀行の相続手続きでは、遺言執行者が手続きする場合の書類が別途定められています。
2. 死亡の届け出に必要な資料
銀行の「相続発生時の必要書類」情報をもとに、遺言代用信託に必要な書類を整理すると次のとおりです。
① 死亡の事実が確認できる書類(必須)
銀行は「死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本」「死亡診断書」などを求めます。 りそな銀行も「死亡の確認のための書類が必要」と明記しています。
使える書類の例
• 戸籍謄本(死亡の記載があるもの)
• 除籍謄本
• 死亡診断書(死体検案書) ※死亡届提出時に使う書類と同じ。死亡届の必要書類は「死亡届+死亡診断書」であると税理士法人の解説でも確認できます。
② 受取人(第二受益者)の本人確認書類(必須)
銀行は相続人の本人確認書類として、
• 最新の戸籍謄本
• 印鑑証明書 などを求めると案内しています。
遺言代用信託でも「受取人が誰か」を確認する必要があるため、同様の書類が必要になります。
③ 信託契約書(遺言代用信託の契約書)
銀行が「誰にいくら渡す契約か」を確認するために必要です。
④ 銀行が指定する所定の書類(依頼書など)
銀行は相続手続きで「相続手続依頼書」などの所定書類を送付します。 三菱UFJ信託銀行でも「相続手続依頼書等を郵送する」と案内しています。
遺言代用信託でも同様に、銀行が「信託金支払い依頼書」などを送付します。
⑤ 通帳・キャッシュカード(信託口座がある場合)
銀行は「亡くなった方の通帳・キャッシュカード等の原本確認」を求めます。
信託専用口座がある場合は、その通帳が必要です。
3. まとめ(実務で必要な書類一覧)
遺言代用信託の死亡届出に必要な書類は次のとおりです。
• 死亡の事実が確認できる書類
o 戸籍謄本(死亡記載)
o 除籍謄本
o 死亡診断書(死体検案書)
• 受取人の本人確認書類
o 運転免許証・マイナンバーカード
o 印鑑証明書
o 最新の戸籍謄本
• 信託契約書(遺言代用信託契約書)
• 銀行所定の依頼書(支払い依頼書など)
• 信託口座の通帳・キャッシュカード
4. 実務での流れ
銀行の相続手続きは以下の流れで進みます。
1. 受取人または家族が銀行へ死亡の連絡
2. 銀行が必要書類を案内
3. 必要書類を郵送または来店で提出
4. 銀行が契約内容を確認
5. 受取人へ信託金を支払う
遺言代用信託は「遺産分割協議が不要」であるため、書類が揃えば支払いは比較的早く進みます。
◆ 遺言代用信託と生命保険の“まず押さえるべき違い”
• 遺言代用信託:生前に銀行と契約し、死後に銀行が「契約どおり」お金を渡す
• 生命保険:死亡という「保険事故」が起きたときに保険会社が保険金を支払う
つまり、
遺言代用信託=“契約どおりに渡す” 生命保険=“事故が起きたら渡す”
という根本の違いがあります。
1. 法律上の位置づけの違い
● 遺言代用信託
• 信託法に基づく「生前契約」
• 死亡後は銀行が契約どおりに支払う
• 遺産分割協議の対象外(信託財産は遺産ではない)
● 生命保険
• 保険法に基づく「保険契約」
• 死亡という事故が起きたときに支払う
• 保険金は“受取人固有の財産”であり、遺産ではない
2. 受取人の権利の違い
● 遺言代用信託
受取人は「第二受益者」。 委託者(本人)が亡くなった時点で受益権が発生。
● 生命保険
受取人は「保険金受取人」。 死亡事故が起きた時点で保険金請求権が発生。
3. お金を渡すタイミングの違い
● 遺言代用信託
• 死亡確認後、銀行が契約どおりに支払う
• 葬儀費用など“すぐ必要なお金”を渡せる
● 生命保険
• 死亡保険金は請求後に支払われる
• ただし請求には書類が多く、数週間かかることもある
4. 使える財産の違い
● 遺言代用信託
• 主に 金銭
• 銀行によっては自社株なども可能
• 不動産は原則不可
● 生命保険
• 保険金(現金)
• 財産そのものを渡す仕組みではない
5. 税金の違い
● 遺言代用信託
• 受取人は 相続税 の対象
• 遺留分侵害額請求の対象になる
● 生命保険
• 「500万円 × 法定相続人の数」まで非課税
• 遺留分侵害額請求の対象になる(保険金も含まれる)
6. 手続きの違い
● 遺言代用信託
必要書類
• 死亡の確認書類(戸籍・死亡診断書)
• 受取人の本人確認書類
• 信託契約書
• 銀行所定の書類
● 生命保険
必要書類
• 死亡診断書
• 保険証券
• 受取人の本人確認書類
• 保険会社所定の請求書
7. メリットの違い
● 遺言代用信託のメリット
• 死亡直後に必要なお金を渡せる
• 年金型など柔軟な設計が可能
• 認知症対策として使える
• 遺産分割協議が不要
● 生命保険のメリット
• 非課税枠が大きい
• まとまった金額を確実に渡せる
• 保険事故が起きれば必ず支払われる
• 手数料が比較的安い
8. デメリットの違い
● 遺言代用信託
• 手数料がかかる
• 遺留分に配慮が必要
• 不動産は使えない
• 銀行によって設計の自由度が違う
● 生命保険
• 保険事故が起きないと支払われない
• 高齢になると保険料が高い
• 医療状況によって加入できないことがある
9. どちらが向いているか(家庭別)
● 遺言代用信託が向いている家庭
• 葬儀費用をすぐ渡したい
• 高齢の配偶者の生活費を毎月渡したい
• 障害のある子へ定期的に渡したい
• 認知症対策をしたい
• 遺産分割協議を避けたい
● 生命保険が向いている家庭
• 非課税枠を活用したい
• まとまった金額を確実に渡したい
• 加入時に健康状態が問題ない
• シンプルに「死亡時にお金を渡したい」
10. 一番分かりやすいまとめ
• 遺言代用信託=生前契約で死後に銀行が渡す仕組み
• 生命保険=死亡事故が起きたら保険会社が渡す仕組み
どちらも「家族にお金を渡す」点は同じですが、 設計の自由度・税金・使える場面がまったく違うため、「併用が最も安全」と説明できます。
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