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家なき子特例は「別居でも自宅土地の評価額を最大80%減額できる」極めて強力な相続税軽減制度で、要件を満たすと数百万円〜数千万円の節税が可能です。 ただし、平成30年改正で要件が大幅に厳格化され、利用できるケースは明確に限定されています。
◆家なき子特例とは
家なき子特例とは、被相続人と同居していなかった親族でも、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」を使える制度です。 この特例を使うと、330㎡までの自宅敷地の評価額が80%減額されます。 (例:評価額5000万円 → 1000万円に圧縮)
◆なぜ「家なき子」に特例があるのか
小規模宅地等の特例は本来、
• 配偶者
• 同居していた親族
が自宅を相続する場合に使える制度です。
しかし、現実には
• 親が一人暮らし
• 子は賃貸暮らしで別居 というケースが多く、別居しているからといって自宅土地の相続税が重くなるのは不合理です。
そこで、 「持ち家がない別居親族」=自宅を相続しても生活基盤が守られるようにする救済措置 として家なき子特例が設けられています。
◆家なき子特例の具体例
●例:評価額1億円・200㎡の自宅を相続する場合
• 特例なし:1億円
• 特例あり:200㎡×80%減額=評価額2000万円 → 8000万円の評価減 → 税率30%なら約2400万円の節税 → 税率55%なら最大4400万円の節税
相続税対策として最重要級の制度と言われる理由がここにあります。
◆家なき子特例の6つの要件
各税理士法人の解説を総合すると、要件は以下の6つです。 (※表現は異なるが内容は一致)
①被相続人に配偶者がいない
死亡時点で配偶者が存命でないこと。 → 二次相続(夫婦の後に残った方の相続)で使う制度。
②同居していた法定相続人がいない
同居していた子・兄弟などがいれば、その人が特例対象となるため、家なき子特例は使えない。
③相続開始前3年以内に「持ち家」に住んでいない
持ち家の範囲は広い:
• 自分の持ち家
• 配偶者の持ち家
• 3親等内親族の持ち家
• 特別関係法人の持ち家
これらに住んでいたらNG。 例:夫名義の家に住んでいた妻 → NG(配偶者の持ち家)
④相続開始前3年以内に「3親等内親族・特別関係法人」の家に住んでいない
平成30年改正で追加。 名義を親族に移して住み続ける「形式的家なき子」を排除するための要件。
⑤相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがない
これも平成30年改正で追加。 リースバック(自宅を売却して賃貸で住み続ける)などの節税スキームを封じるため。
⑥相続開始から申告期限(10か月)まで宅地を所有している
申告期限前に売却すると特例は使えない。 契約締結だけでも否認される可能性があるため注意。
◆要件を満たす「利用可能なケース」
ここからは、実務でよく相談されるケースを分類して解説します。
利用できるケース
ケース1:賃貸暮らしの子が実家を相続
• 親は一人暮らし
• 子は賃貸マンション → 最も典型的な家なき子特例の対象。
ケース2:投資用不動産を持っているが自宅として住んでいない
• 自分名義のマンションを賃貸に出している
• 自分は賃貸アパートに住んでいる → 住んでいなければ持ち家とみなされないためOK。
ケース3:相続後に自宅を賃貸に出す
用途は問われないため、
• 相続後に賃貸化
• 申告期限まで所有していればOK
ケース4:老人ホーム入居中の親の自宅を相続
以下の要件を満たせば適用可能:
• 親が要介護認定等を受けて施設入居
• 自宅を事業用に使っていない
利用できないケース(典型例)
NG1:夫名義の家に住んでいる妻
→ 配偶者の持ち家に居住 → 要件③違反
NG2:親名義の家に住んでいる
→ 3親等内親族の持ち家 → 要件④違反
NG3:過去に自宅を所有していた(売却済みでも)
→ リースバック対策 → 要件⑤違反
NG4:申告期限前に売却
→ 要件⑥違反。契約締結だけでも危険。
平成30年改正で変わった要点整理
改正の目的は「形式的な家なき子の排除」。 追加された要件は以下の2つ:
• 3親等内親族・特別関係法人の家に住んでいないこと
• 現在住んでいる家を過去に所有していないこと
これにより、 名義移転・同族会社売却・リースバックなどの節税スキームは完全に封じられた。
◆家なき子特例の申告手続き
税理士法人の解説を総合すると、申告は以下の5ステップ:
1. 相続人・財産の確定(戸籍・登記簿・評価証明書)
2. 家なき子要件の確認(住民票・賃貸契約書・所有歴)
3. 遺産分割協議書の作成(家なき子が自宅を取得する旨)
4. 相続税申告書の作成(小規模宅地等の特例明細)
5. 10か月以内に申告・納付
税務調査で指摘されやすいポイント
• 持ち家の判定範囲が広い
• 過去の所有歴の確認が厳しい
• 申告期限前の売却は即アウト → 実態確認が厳しく、形式的な賃貸暮らしは否認される可能性あり。
家なき子特例を活用するための生前対策
• 相続開始前3年以上、賃貸暮らしを維持
• 過去の所有歴を整理
• 親の居住実態(老人ホーム等)を証明できる書類を準備
• 遺言書で「自宅は家なき子に相続させる」と明記
• 相続開始後は申告期限まで売却しない
まとめ(相談者向け要点)
• 家なき子特例は別居でも自宅土地を80%減額できる強力な制度
• 要件は6つすべて必要
• 平成30年改正で要件が厳格化
• 利用できるケースは明確に限定
• 節税額は数百万円〜数千万円
• 実務では「持ち家判定」「過去所有歴」「売却時期」が落とし穴
家なき子特例の要件は「6つすべて満たすこと」が絶対条件で、平成30年改正により判定が非常に厳格化されています。
◆家なき子特例の要件(6つすべて必要)
各専門機関の解説を総合すると、要件は次の6つです。 (構成はFP総合研究所の整理に準拠)
①被相続人に配偶者がいない
死亡時点で法律上の配偶者が存命でないこと。
• 死別
• 離婚
• 生涯独身 いずれも「配偶者なし」に該当。
②同居していた法定相続人がいない
被相続人と同居していた「法定相続人」がいれば、その人が特例対象となるため家なき子特例は使えない。 ※孫・叔父・内縁の妻などは法定相続人ではないため、同居していても要件②を妨げない。
③相続開始前3年以内に「持ち家」に住んでいない
ここが最重要ポイント。 “持ち家”の範囲は非常に広い:
• 自分の持ち家
• 配偶者の持ち家
• 3親等内親族の持ち家(平成30年改正で追加)
• 特別関係法人の持ち家(同族会社等)
例:
• 夫名義の家 → NG
• 親名義の家 → NG
• 父が経営する会社の社宅 → NG (OAG税理士法人の解説)
④相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがない
平成30年改正で新設。 リースバック(自宅を売却して賃貸で住み続ける)などの節税スキームを封じるための要件。 → 過去に一度でも所有していた家に住んでいたら即アウト。 (Prime・アキサポ・OAGの解説一致)
⑤国籍・生活の本拠に関する要件
FP総合研究所の詳細解説によると、
• 外国籍の「居住制限納税義務者」
• 外国籍の「非居住制限納税義務者」 は対象外。
※一般的な日本居住の日本国籍者は問題なし。
⑥相続した宅地を申告期限(10か月)まで所有している
申告期限前に売却・贈与すると特例は使えない。 売買契約の締結だけでも否認リスクあり(鮎澤パートナーズ)。
◆「誤解しやすいポイント」解説
ポイント1:同居していたのが「法定相続人でない親族」の場合はOK
FP総合研究所の事例:
• 内縁の妻
• 孫
• 叔父 これらは法定相続人ではないため、同居していても要件②を妨げない。
ポイント2:3年ルールの“例外”がある
FP総合研究所の事例: 「直前まで親と同居していたが、1年前に賃貸へ転居した」 → 親の家は“被相続人の居住用家屋”のため、3年ルールの対象外。 → 特例適用可。
ポイント3:3親等の判定は非常に広い
3親等内親族=
• 親
• 子
• 祖父母
• 孫
• 兄弟姉妹
• 叔父・叔母
• 甥・姪
→ いとこ(4親等)はOK(FP総合研究所)。
ポイント4:特別関係法人の家はNG
• 親族が50%超を保有する会社
• 親族が理事等を務める医療法人・社団法人 → これらの社宅に住んでいたらNG。
ポイント5:海外の家も「過去所有歴」の対象
FP総合研究所によると、要件④の「過去所有歴」は国内外問わずチェックされる。
平成30年改正で変わった要点
• 持ち家判定の範囲拡大(3親等内親族・特別関係法人)
• 過去所有歴の追加(リースバック封じ) → 形式的な「家なき子」を排除するための厳格化。
◆適用可否の判定フロー
配偶者・同居法定相続人がいない
1. 3年以内に持ち家に住んでいない
2. 今住んでいる家を過去に所有していない
3. 申告期限まで宅地を保有 → すべて満たせば適用。
◆実務で迷うグレーゾーン例
●ケースA:親の敷地内の“離れ”に住んでいた
→ 親は1親等 → NG
●ケースB:父の会社の社宅に住んでいた
→ 特別関係法人 → NG
●ケースC:いとこの家に住んでいた
→ いとこは4親等 → OK。
●ケースD:老人ホーム入居中の親の自宅
→ 親の居住用家屋として扱われるため、家なき子特例の対象になり得る
※ただし「生活の本拠」認定が必要
◆要件を満たす典型的なケース
• 親は一人暮らし
• 子は賃貸マンション
• 過去に持ち家なし → 最も典型的な家なき子特例
◆要件を満たさない「適用不可ケース」
• 夫名義の家に住む妻(配偶者の持ち家)
• 親名義の家に住む子(3親等内親族)
• 父の会社の社宅(特別関係法人)
• 過去に所有した家に住んでいる(リースバック)
◆まとめ
家なき子特例は、 「純粋に持ち家を持たず賃貸暮らしをしてきた別居親族」だけが使える制度 に改正されています。
要件は次の6つ:
• 配偶者なし
• 同居法定相続人なし
• 3年以内に持ち家居住なし(本人・配偶者・3親等内親族・特別関係法人)
• 今住んでいる家を過去に所有していない
• 国籍・生活の本拠要件
• 申告期限まで宅地保有
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