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2025年10月1日から公正証書遺言の作成方法は「デジタル化」により大幅に変わりました。最大のポイントは、オンラインで作成できるようになったこと、原本が電子データになること、署名が電子サインに変わったことです。
◆ 2025年10月から公正証書遺言はどう変わったか(総論)
2025年10月1日施行の制度改正により、公正証書遺言の作成手続きは「紙中心の対面方式」から「デジタル中心のオンライン方式」へと大きく進化しました。 この改正は、令和5年法律第53号(民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)に基づくものです。
公証人連合会の公式資料によれば、以下の3点が特に重要な変更点です。
• ① インターネットによる嘱託(申請)が可能に
• ② ウェブ会議(リモート方式)で作成可能に
• ③ 公正証書は原則電子データで作成・保存される
これらは公正証書全般の変更ですが、もちろん「公正証書遺言」も対象です。
◆ 1. インターネットによる嘱託(申請)が可能に
従来は、公証役場に出向き、印鑑証明書を提示し、署名押印を行う必要がありました。 しかし改正後は、電子署名+電子証明書を付したデータをメールで送信することで嘱託(申請)が可能になりました。
● 来所不要で本人確認が完結
電子証明書による本人確認が導入され、来所せずに本人確認が可能となりました。 これは高齢者・身体が不自由な方・遠方の方にとって非常に大きなメリットです。
◆ 2. ウェブ会議(リモート方式)で公正証書遺言を作成可能に
今回の改正の「目玉」と言えるのが、リモート方式の導入です。
● 自宅・病院・介護施設から作成できる
公証人と遺言者・証人がウェブ会議でつながり、
• 映像・音声による本人確認
• 意思確認
• 公正証書案文の読み上げ
• 電子サインの実施
を行うことで、公正証書遺言が完成します。
● リモート方式の利用要件
公証人連合会の公式資料によると、以下の要件が必要です。
• 嘱託人(遺言者)または代理人がリモート方式を希望すること
• 他の嘱託人(複数の場合)が異議を述べないこと
• 公証人が「相当」と認めること
• PC(スマホ不可)、電子ペン、メール環境などの機器を準備できること
● スマホ・タブレットは不可
ウェブ会議はPCのみ利用可能で、スマホ・タブレットは使用できません。 これは「本人確認の厳格化」のためです。
◆ 3. 公正証書は原則電子データで作成・保存
従来は紙の原本を公証役場で保管していましたが、改正後は電子データが原本になります。
● 正本・謄本も電子データで交付可能
• 紙での交付
• 電子データでの交付(メール・クラウド)
• USBメモリでの受け取り
など、受け取り方法が選べます。
● 紛失リスクが大幅に低下
電子データはバックアップされるため、紙のような紛失・劣化リスクが大きく減ります。
◆ 4. 署名は「電子サイン」に変更(押印不要)
従来の公正証書遺言では、
• 遺言者
• 証人2名
• 公証人
が紙に署名し、実印を押印していました。
改正後は、電子サイン(タッチペンでの署名)に変更され、押印は不要です。
● 電子サインの方法
• 公証人のPC画面
• または公証人PCに接続されたペンタブレット
にタッチペンで署名し、その画像が公正証書原本に記録されます。
◆ 5. 従来の対面方式も継続(選択制)
「デジタル化は不安」「公証人と直接会って作成したい」という方のために、従来の対面方式も残ります。
● 従来方式の流れはほぼ同じ
• 公証役場に出向く
• 公証人が内容を読み上げる
• 署名は紙ではなくタブレットに変更(電子サイン)
という点以外は、従来とほぼ同じです。
◆ 6. 手数料の改正(2025年10月〜)
デジタル化に伴い、手数料も見直されました。
● 主な変更点
• 電子データの正本・謄本交付:1件2,500円
• 紙の書面交付:1枚300円
• 養育費の手数料算定期間:10年 → 5年に短縮
• 死後事務委任契約の手数料:通常の半額
◆ 7. デジタル化のメリット
● ① 移動負担がゼロになる
自宅・病院・施設から作成できるため、外出困難な方でも遺言作成が可能。
● ② 遠方の家族が同席しやすい
ウェブ会議で同席できるため、家族が全国どこからでも参加可能。
● ③ 紛失リスクが減る
電子データで保管されるため、紙の紛失・劣化リスクが大幅に低下。
● ④ 作成のハードルが下がる
「公証役場に行くのが大変」という心理的ハードルが解消される。
◆ 8. デジタル化の注意点
● ① デジタル機器の操作が必要
PC操作が苦手な方は、専門家のサポートが必要。
● ② 公証人が「相当」と認めない場合は利用不可
本人確認・意思確認が難しい場合、リモート方式は使えません。
● ③ 証人は依然として必要
遺言の方式要件は変わらないため、証人2名は必須。
◆ 9. リモート方式の具体的な流れ
以下は、公証人連合会が示すリモート方式の流れです。
1
ウェブ会議に参加
公証人から届く招待メールを開き、PCでウェブ会議に参加します。
2
本人確認と意思確認
公証人が映像・音声を通じて本人確認と意思確認を行います。
3
案文の読み上げ
公証人が公正証書案文を画面に表示し、読み上げて内容を確認します。
4
電子サイン依頼を受信
案文PDFへの電子サイン依頼メールが遺言者・証人に送られます。
5
電子サインを実施
遺言者・証人が電子サインを行い、メールで送信します。
6
公証人が電子署名
公証人が電子署名を行い、公正証書遺言の原本が完成します。
◆ 10. 公正証書遺言のデジタル化は「遺言の普及」を強く後押しするか?
今回のデジタル化は、単なる技術的な変更ではなく、 「遺言を作りやすくする」ための社会的改革です。
背景には以下の社会問題があります。
• 高齢化・単身化の進行
• 相続トラブルの増加
• 公証役場への移動負担
• 証人確保の難しさ
これらを解消するために、デジタル化は非常に有効です。
◆ 11. 実務家の視点
● デジタル化で相談件数は増える可能性
「公証役場に行かなくてよいなら作りたい」という高齢者は多く、 遺言作成のハードルが下がることで相談件数は増えると予測されます。
● 専門家の役割はむしろ重要に
• デジタル機器の操作
• リモート方式の段取り
• 証人の確保
• 内容の法的チェック
など、専門家の支援が必要な場面は増えます。
◆ 12. 相続・終活セミナーでの伝え方
福岡県筑紫野市で終活セミナーを継続開催していますが、 以下のような説明が参加者に最も響きます。
● セミナー向けの一言まとめ(控えめ誘導)
「2025年10月から、公正証書遺言は自宅からオンラインで作れるようになりました。 ただし、内容のチェックは従来どおり公証人はしてくれませんので、 “確実に実現したい内容”がある方は、専門家のサポートがあると安心です。」
● 行動促進につながるポイント
• デジタル化で作りやすくなった
• しかし内容の不備は依然として危険
• 遺言執行者の指定は必須級
• 専門家が入ると家族の負担が激減
◆ 13. まとめ
2025年10月から公正証書遺言はデジタル化
• インターネット嘱託・リモート方式が可能
• 原本は電子データで作成・保存
• 署名は電子サイン(押印不要)
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