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相続人のための「準確定申告」
〜はじめてでも迷わない。制度の意味から書類の集め方まで〜
1. 準確定申告とは何か
準確定申告とは、年の途中で亡くなった方(被相続人)の所得税を、相続人が代わりに申告・納税する手続きです。 通常の確定申告は、本人が翌年2月16日〜3月15日に行います。しかし、亡くなった場合は本人が申告できないため、 相続人が引き継いで行う必要があります。
●対象となる期間
亡くなった年の 「1月1日〜死亡日まで」 に生じた所得が対象です。 例:6月20日に亡くなった場合 → 1月1日〜6月20日までの所得を計算します。
●誰が申告する?
申告するのは
• 法定相続人
• 包括受遺者(遺言で財産を包括的に受け取る人)
相続人が複数いる場合は、全員が連署して提出するのが原則です。 ただし、各自が別々に提出することも可能で、その場合は申告内容を互いに通知する義務があります 。
2. 通常の確定申告との違い
準確定申告は、通常の確定申告と似ていますが、申告者・期限・提出先が大きく異なります。
項目 通常の確定申告 準確定申告
申告者 本人 相続人
対象期間 1/1〜12/31 1/1〜死亡日
期限 翌年3/15まで 相続開始を知った日の翌日から4か月以内
提出先 本人の住所地の税務署 被相続人の死亡時の住所地の税務署
提出先は「相続人の住所地」ではなく、亡くなった方の住所地の税務署である点に注意が必要です 。
3. 準確定申告が必要な人・不要な人
準確定申告が必要かどうかは、亡くなった方の所得状況で決まります。
◆準確定申告が必要なケース(代表例)
以下のいずれかに該当する場合は、準確定申告が必要です 。
• 自営業(事業所得)があった
• 不動産所得(家賃収入など)があった
• 給与収入が2,000万円超だった
• 2か所以上から給与を受けていた
• 給与以外の所得(副業・株式・不動産売却など)が20万円超あった
• 公的年金の収入が400万円超だった
• 年金以外の所得が20万円超だった
• 海外から給与・退職金を受けていた
• 生命保険の満期金・一時金を受け取った
• 土地・建物・株式を売却して所得が生じた(源泉徴収なしの場合)
◆準確定申告が不要なケース
以下の条件を満たす場合は不要です 。
• 公的年金の収入が400万円以下
• 年金以外の所得が20万円以下
• 給与が1か所のみで年末調整済み
• 所得がない(専業主婦など)
ただし「不要=申告しないほうが良い」ではありません。 後述のとおり、申告すれば還付が受けられるケースがあります。
4. 申告義務はなくても「還付」が受けられるケース
準確定申告は「義務がある人だけがするもの」と思われがちですが、 義務がなくても申告したほうが得になる場合があります。
●還付が受けられる代表例
• 高額な医療費を支払っていた(医療費控除)
• 生命保険料・地震保険料を支払っていたが年末調整で控除されていない
• ふるさと納税のワンストップ特例を使っていない
• 年の途中で退職し年末調整を受けていない
• 源泉徴収で税金が多く引かれている可能性がある
これらは、申告することで払いすぎた税金が戻る可能性があります。
5. 準確定申告の期限
準確定申告の期限は、 相続の開始(死亡)を知った日の翌日から4か月以内です 。
●例
5月10日に死亡 → その日知った → 期限:9月10日
通常の確定申告(翌年3月15日)よりはるかに早いため、 相続手続きの中でも最優先で着手すべき手続きです。
6. 必要書類
準確定申告に必要な書類は次のとおりです 。
●必須書類
• 確定申告書(第一表・第二表) ※「準確定」と記載して使用
• 準確定申告書付表(相続人の氏名・住所・続柄を記載)
• 源泉徴収票(給与・年金など)
• 控除証明書(生命保険料・地震保険料・社会保険料など)
• 医療費の領収書
• 還付金の受取口座情報
• 委任状(還付金を代表者が受け取る場合)
●あると便利な書類
• 通帳のコピー(預貯金の確認)
• 不動産の固定資産税評価証明書
• 株式の取引報告書
• 生命保険の支払通知書
7. 準確定申告の流れ
準確定申告は、次の流れで進めるとスムーズです。
①申告が必要か確認する
亡くなった方の収入・所得の種類を確認し、申告義務の有無を判断します。
②所得・控除の集計
1月1日〜死亡日までの
• 給与
• 年金
• 事業
• 不動産
• 株式
• 保険金 などを集計します。
控除(医療費・保険料・社会保険料など)も死亡日までの支払分が対象です。
③申告書の作成
国税庁の確定申告書作成コーナーで作成できます。 申告書の表題横に「準確定」と記載します。
④相続人全員の連署
相続人が複数いる場合は連署が原則。 別々に提出する場合は、互いに申告内容を通知します。
⑤税務署へ提出・納税
提出先は 被相続人の死亡時の住所地の税務署です。 税額がある場合は期限内に納付します。
8. 準確定申告で使える控除
準確定申告では、通常の確定申告と同じ控除が使えますが、 死亡日までに支払ったものだけが対象です。
●医療費控除
死亡日までに支払った医療費が対象。 死亡後に相続人が支払った医療費は対象外ですが、 相続税の債務控除として使えます 。
●生命保険料控除・地震保険料控除
死亡日までに支払った保険料が対象。
●社会保険料控除
死亡日までに支払った分が対象。
●配偶者控除・扶養控除
死亡日現在の状況で判定します。 月割計算はありません 。
9. 還付金の扱い
準確定申告で還付金が出た場合、 その還付金は相続財産として扱われます 。
還付金を受け取るには
• 還付金振込依頼書
• 代表者受領の場合は委任状
が必要です。
10. 個人事業主の場合の注意点
被相続人が個人事業主だった場合は、 消費税の準確定申告が必要になることがあります 。
11. 期限を過ぎた場合のペナルティ
期限を過ぎると
• 無申告加算税
• 延滞税
が課される可能性があります。 「還付だと思っていたら納付だった」というケースもあるため、 早めに計算し、納付か還付かを確認することが重要です。
12. 準確定申告と相続税の関係
準確定申告は所得税の手続きですが、相続税にも影響します。
●相続税への影響
• 準確定申告で納めた所得税 → 相続税の債務控除
• 準確定申告で戻る還付金 → 相続財産として課税対象
13. まとめ
準確定申告は、 「亡くなった方の所得税を、相続人が4か月以内に申告する手続き」です。
ポイントは次のとおりです。
• 対象は「1月1日〜死亡日」までの所得
• 期限は「死亡を知った日の翌日から4か月以内」
• 必要な人・不要な人の判断が重要
• 控除は死亡日までの支払分のみ
• 還付金は相続財産
• 相続税にも影響する
• 期限が短いため早めの準備が必須
◆次にどう進めますか?
必要であれば、
• 準確定申告の書類チェックリスト
• 相談者向けの短い説明文
• HP掲載用の図解入りページ案
どれでも作成できます。どれを進めましょうか?
準確定申告の書類チェックリストを作成して
結論として、相続人が迷わず使える 「準確定申告の書類チェックリスト(完全版)」 を作成しました。 水田さんのHPにもそのまま貼れるよう、シンプル構造・高齢者にも読みやすい日本語・実務順で整理しています。
◆準確定申告の書類チェックリスト
申告は、 「亡くなった方の1月1日〜死亡日までの所得を、相続人が4か月以内に申告する手続き」です。 必要書類をまとめるだけで、手続きの8割が完了します。
1. 申告書類(必須)
• 準確定申告書(確定申告書AまたはBの第一表・第二表) ※表題横に「準確定」と記載
• 準確定申告書付表(相続人の氏名・住所・続柄を記載)
• 相続人全員の署名(連署) ※別々に提出する場合は互いに申告内容を通知
2. 所得に関する書類
●給与所得
• 源泉徴収票(勤務先から受け取る)
●公的年金
• 年金の源泉徴収票(日本年金機構から届く)
●事業所得(自営業)
• 帳簿・売上台帳・経費の領収書
• 決算書(青色申告決算書・収支内訳書)
●不動産所得(家賃収入)
• 賃貸契約書
• 家賃の入金記録
• 固定資産税評価証明書
●株式・投資信託
• 特定口座年間取引報告書
• 売却損益の明細
●保険金・一時金
• 生命保険会社の支払通知書
●その他の所得
• 雑所得・副業収入の明細
• 海外所得の証明書類
3. 控除に関する書類
●医療費控除
• 医療費の領収書(死亡日までの分)
• 医療費通知(保険者から届く)
●生命保険料控除
• 生命保険料控除証明書
●地震保険料控除
• 地震保険料控除証明書
●社会保険料控除
• 国民健康保険・国民年金の支払証明書
●寄附金控除(ふるさと納税)
• 寄附金受領証明書 ※ワンストップ特例は死亡により無効になるため申告が必要
4. 相続人側で必要な書類
• 相続人全員の氏名・住所・続柄の一覧
• 還付金受取口座情報
• 委任状(代表者が還付金を受け取る場合)
5. あると便利な書類(任意)
• 通帳のコピー(入出金の確認)
• 不動産の登記事項証明書
• 車検証(自動車がある場合)
• 株式の残高報告書
• 保険証券のコピー
6. 書類を集める順番(最短ルート)
1. 源泉徴収票・年金の源泉徴収票を集める
2. 医療費・保険料など控除関係を集める
3. 事業・不動産・株式などの所得資料を集める
4. 申告書を作成(国税庁の作成コーナー)
5. 相続人全員の署名(連署)
6. 税務署へ提出(亡くなった方の住所地)
7. チェックリスト(印刷用)
• [ ] 準確定申告書(第一表・第二表)
• [ ] 準確定申告書付表
• [ ] 源泉徴収票(給与)
• [ ] 源泉徴収票(年金)
• [ ] 事業の帳簿・決算書
• [ ] 不動産収入の資料
• [ ] 株式・投信の取引報告書
• [ ] 保険金の支払通知書
• [ ] 医療費の領収書
• [ ] 保険料控除証明書
• [ ] 社会保険料の支払証明書
• [ ] 寄附金受領証明書
• [ ] 還付金受取口座情報
• [ ] 委任状(必要な場合)
• [ ] 相続人全員の署名
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