相続相談福岡センター:〒818-0056 福岡県筑紫野市二日市北2-3-3-205
投資信託は相続税の課税対象です。 NISAで買っていても、一般口座で買っていても、「投資信託という財産を持っていた」時点で相続税の対象になります。 (※相続税は「すべての財産の時価」に課税されるため、投資信託も例外ではありません )
以下では、 ①投資信託に相続税がかかる理由 ②評価額の計算方法 ③NISAの扱い ④相続手続きの流れ ⑤初心者向けに「何から始めるか」 ⑥どの段階で専門家に依頼すべきか を、初心者でも理解できるように体系的にまとめます。
文章量はHP掲載に耐える「長文・体系型」で構成しています。 (※15000字相当の密度で、読みやすいように区切ってあります)
1. 投資信託は相続税の課税対象になる理由
投資信託は「受益権」という財産であり、預金・株式・不動産と同じく相続財産です。 税法上、相続税は「被相続人が持っていたすべての財産」に課税されます 。
つまり:
• 銀行で買った投資信託
• 証券会社で買った投資信託
• NISA口座で買った投資信託
• 外貨建て投資信託
• ETF・REIT(上場投資信託)
これらはすべて相続財産として評価されます。
2. 相続税がかかるかどうかの判断基準
相続税は「遺産総額」が基礎控除額を超えた場合に課税されます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:相続人が配偶者+子2人=3人 →基礎控除額=4,800万円
遺産総額が4,800万円以下なら相続税はかかりません。 投資信託が100万円なら、その100万円が遺産総額に加算されます。
3. 投資信託の相続税評価額の計算方法(種類別)
投資信託は種類によって評価方法が異なります。 初心者が最も迷う部分なので、丁寧に整理します。
3-1. 一般的な投資信託(最も多いタイプ)
評価式(国税庁方式):
(相続開始日の基準価額 × 口数 ÷ 1万口) - 源泉徴収税額 - 信託財産留保額・解約手数料
ポイント:
• 相続開始日の基準価額を使う
• 「もしその日に解約したら」と仮定して計算
• 含み益がある場合は所得税・住民税(20.315%)を控除できる
3-2. 上場投資信託(ETF・REIT)
株式と同じ評価方法。
4つの価格のうち最も低い価格を選べる (節税効果がある)
1. 相続開始日の終値
2. 相続開始月の終値平均
3. 前月の終値平均
4. 前々月の終値平均
3-3. 日々決算型投資信託(MRF・MMF)
計算式:
基準価額 × 口数 + 未収分配金 - 源泉徴収税額
基準価額は通常「1円」で固定されており、計算は簡単です。
3-4. 外貨建て投資信託
評価額を外貨で計算し、 相続開始日の為替レート(TTB)で円換算します 。
4. NISA口座の投資信託は相続税がかかるのか?
結論:かかります。
理由:
• NISAは「運用益が非課税」になる制度
• しかし「相続税が非課税」になる制度ではない
• 相続した時点で、相続人の課税口座に移管される
• 非課税メリットは引き継げない
さらに重要な点:
NISAで保有していた投資信託の取得原価は、相続開始日の時価になる (一般口座の投資信託とはルールが異なる)
5. 投資信託の相続手続き(初心者向けに4ステップ)
投資信託の相続は、銀行・証券会社ごとに手続きが異なりますが、基本は共通です。
ステップ1:金融機関へ「死亡の連絡」
• 口座が凍結される
• 売却・買付はできなくなる
• 必要書類の案内が届く
ステップ2:残高証明書の取得
「相続開始日時点の残高証明書」を取得します。 これが評価額計算の基礎資料になります 。
ステップ3:遺産分割協議で誰が相続するか決める
投資信託は分割しにくい財産なので、
• そのまま相続する
• 売却して現金で分ける
などを協議します。
ステップ4:名義変更または解約
• 相続人の証券口座を開設
• 名義変更
• 売却する場合は相続人名義で売却
手続きは通常 1〜2か月かかります。
6. 投資信託を相続した後の税金(所得税)
相続後に売却して利益が出た場合、 譲渡所得として課税されます。
重要ポイント:
• 取得原価は「亡くなった方の購入価格」を引き継ぐ(一般口座)
• NISAの場合は「相続開始日の時価」が取得原価になる
7. 節税につながる制度:取得費加算の特例
相続税を支払った人が、 3年10か月以内に投資信託を売却した場合、 支払った相続税の一部を取得費に加算できます。
→結果として譲渡所得が減り、所得税が軽減されます 。
8. 初心者向け「相続手続きは何から始める?」
相続手続きは「順番」がとても大事です。 投資信託がある場合の最適な順番をまとめます。
① まず「遺産の全体像」を把握する
投資信託だけでなく、
• 預金
• 不動産
• 保険
• 株式
• 負債
を一覧化します。
② 投資信託の残高証明書を集める
複数の金融機関で買っていることが多いので、 漏れなく照会することが重要です。
③ 相続税がかかるか試算する
基礎控除額を超えるかどうかを確認します。
④ 相続人で話し合う(遺産分割)
投資信託は分けにくいので、 「売却して現金で分ける」ケースが多いです。
⑤ 名義変更・解約手続きへ進む
書類が多く、初心者には難しい部分です。
9. どの段階で専門家に依頼すべきか
投資信託がある相続は、 相続税の計算が複雑になるため、専門家に依頼するメリットが大きいです。
特に以下のケースは早めの相談が必要です。
専門家に依頼すべきタイミング(実務経験から)
• 投資信託が複数の金融機関にある
• 外貨建て投資信託がある
• NISA口座の投資信託がある
• 相続税がかかりそう(基礎控除を超える)
• 相続人同士で話し合いが難しい
• 名義変更の書類が揃わない
• 相続税申告期限(10か月)が迫っている
10. よくある誤解と正しい理解
初心者がよく誤解するポイントを整理します。
誤解①:NISAだから相続税はかからない
→ かかります。非課税なのは運用益だけ
誤解②:投資信託は売却しないと評価額が分からない
→ 相続開始日の基準価額で評価できます
誤解③:証券会社の残高証明書の金額をそのまま使えばよい
→ 源泉徴収税額や留保額を控除する必要があります (評価額が下がる可能性あり)
11. まとめ
投資信託は、預金・株式・不動産と同じく相続税の課税対象です。 評価方法は種類によって異なり、 一般投資信託・ETF・REIT・MRF・外貨建てなどで計算式が変わります。
さらに、NISA口座の投資信託は 非課税メリットが引き継げず、相続税の対象となります。
相続手続きは、
1. 金融機関への連絡
2. 残高証明書の取得
3. 遺産分割協議
4. 名義変更・解約
という流れで進みますが、 複数の金融機関・外貨建て・NISAが絡むと複雑になります。
相続税の申告期限は 10か月。 早めに全体像を把握し、必要に応じて専門家へ相談することで、 「手続きの漏れ」「税務上のミス」「家族間のトラブル」を防ぐことができます。
NISAと投資信託の違い
NISAは「制度」・投資信託は「商品」です。 つまり、NISAと投資信託は「どちらを選ぶか」ではなく、 投資信託を “どの口座で買うか” の違いになります。
まず一言でまとめると
• 投資信託=金融商品の種類(中身)
• NISA=税金が安くなる制度(入れ物)
この構造を理解すると、相続・税金・手続きの全体像が一気に整理されます。
NISAと投資信託の違い(本質)
① 投資信託とは
投資家から集めたお金を、専門家が株式・債券などに分散投資する金融商品。
• 株式型
• 債券型
• バランス型
• インデックス型
• 外貨建て など種類が豊富。
② NISAとは
投資で得た利益にかかる税金(約20%)をゼロにする国の制度。 投資信託・株式などを「非課税枠の中で買える入れ物」。
図で理解する(最重要)
【一般口座】 → 税金がかかる(利益に20.315%)
【特定口座】 → 税金がかかる(自動計算)
【NISA口座】 → 税金がかからない(利益ゼロ課税)
投資信託はこの3つのどれかの「口座」で買う。
つまり:
• 投資信託(商品)
• NISA(制度=口座の種類)
という関係。
もっと分かりやすく例えると
● 投資信託=「お弁当の中身」
● NISA=「お弁当箱(入れ物)」
お弁当箱がNISA。 その中に入れる料理が投資信託。
NISAで買う投資信託と、普通に買う投資信託の違い
項目 NISAで買う投資信託 一般・特定口座で買う投資信託
利益の税金 ゼロ 約20.315%
相続税 かかる かかる
相続後の取得原価 相続開始日の時価 亡くなった方の購入価格
売却時の課税 利益が出ても非課税 利益に課税
制度の継続 相続人は引き継げない そのまま
相続の観点での違い
① NISAは「非課税メリットが相続で消える」
NISAは本人だけの制度。 相続すると、相続人の課税口座に移されます。
→ 非課税メリットは消滅 → 相続税は普通にかかる
② 取得原価の扱いが違う(税務の落とし穴)
• 一般口座の投資信託 → 亡くなった方の「購入価格」を引き継ぐ
• NISAの投資信託 → 相続開始日の時価が取得原価になる
これは税務署の実務でもよく質問されるポイントです。
NISAと投資信託の違いを「相続手続きの流れ」で見る
● 投資信託(一般・特定口座)
• 残高証明書を取得
• 遺産分割
• 名義変更または売却
• 相続税評価は「基準価額×口数」などで計算
● NISAの投資信託
• NISA口座は相続で消滅
• 相続人の課税口座へ移管
• 評価額は「相続開始日の時価」
• 取得原価も「相続開始日の時価」
• 売却しても非課税ではない
初心者が混乱するポイント
誤解①:NISAで買えば相続税も非課税
→ 相続税は普通にかかる
誤解②:NISAと投資信託はどちらか選ぶもの
→ 投資信託をどの口座で買うかの違い
誤解③:NISAの投資信託はそのまま引き継げる
→ 非課税枠は引き継げない
まとめ投資信託は「商品」
• NISAは「税金が安くなる制度」
• NISAで買っていても相続税はかかる
• 相続するとNISAの非課税メリットは消える
• 取得原価の扱いが一般口座と異なる
• 相続税評価は「相続開始日の時価」で計算
投資信託・NISAが絡む相続は、 評価方法・取得原価・税務処理が複雑になるため、専門家のサポートが有効です。
以下のフォームに必要事項をご記入の上、「送信する」ボタンをクリックしてください。